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【書籍化1~2巻発売中!】必中のダンジョン探索~必中なので安全圏からペチペチ矢を射ってレベルアップ~  作者: スクイッド


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第三章end

【書籍化・8月30日1巻発売予定】


「やっと外に出れた……」


 ミスリルゴーレムを倒してから約二時間。

 俺達はディーネと一緒にようやくダンジョンの外へ出られた。

 まあ、ミスリルゴーレムはとんでもない強敵だったけど、それ相応の成果もあったから良しとしよう。

 しっかりミスリルゴーレムと戦った時に砕けた腕や脚。それに加えて核になってた魔石を除いたミスリルゴーレムの体。


 そのすべてを回収してきた。

 もうぶっちゃけ、このミスリルをすべて売ったら残りの人生遊んで暮らせるくらいには稼げるだろう。


 ……俺がこの量のミスリルを売るための伝手があったらの話だけどな!


 ミスリルゴーレムみたいな10メートルほどの大きさに加えて壊した腕や脚も含めると相当な量になってしまう。

 さすがにそこまでいくと出所とかも含めて色々と問い詰められそうだから、普通には売れないんだよなぁ……。


 それにこのミスリルがもう製錬済みって言うのもまずい。

 普通だったらミスリルは採掘できたミスリル鉱石から製錬される物だ。

 そして、その製錬されたミスリルからミスリルの武器とか防具とかが出来る。


 それなのにこのミスリルゴーレムのミスリルは製錬済み……うん! やっぱり売るのは無理!


 なんだかんだ理由をつけて製錬してもらってから売りに来たって出来るかもしれない。だけど、ミスリルは希少な鉱石で製錬できる場所には限りがある。

 そこは大半が国の施設だし、調べられたら一発でアウトだ。

 さすがにそんなリスクを負ってまでって言うのはなぁ……。


 まあ、こればっかりは仕方がないよな。

 それにこんなミスリルなんてディーネがいたことに比べたら些細な問題だろう。


 …………さてと……。方針? もとりあえず決まったしそろそろ移動するか。

 じろりと俺の方を見てきている警備員二人の視線がそろそろ痛い……。


 ***


「ここならもう良いだろ」


 俺はそう言って警備員達から離れて、ホテルまで戻ってきて部屋に入り備え付けのベッドに座り込む。


 別に悪いことをしてるわけじゃないが、なんか警備員に長時間見られるのはいけないことをしてる気分になるなぁ。

 あと普通に居心地が悪い。


「さ~てと……二人とも、もう出てきても大丈夫だぞ」


 そう、俺が声をかけると内ポケットからシルフィとディーネがぴょこりと出てきた。


「お疲れ様! カエデ!」


「ありがとうございますカエデ様……ところでここはいったい?」


「ああ、ホテルだよ。とりあえずここでいろいろ話そうぜ」


「そうですね……でも、なにからお話しましょうか……」


「とりあえず俺の聞きたいことは色々あるんだよな~……。そうだなぁ……」


 何から聞いたらいいんだろうな。

 そう考えているとシルフィが


「あ、だったらディーネがあの戦いの相手のことを覚えてるか知りたい」


 と手をあげて俺に話しかけてくる。


「あの戦い……ああ、シルフィが記憶に霞がかかってるって言って覚えてなかったあれか?」


「そうそう。あたしが覚えてなくてもディーネなら覚えてるんじゃないかなって思ってさ」


「あ~……なるほどな。ということでそこんところどうなの? ディーネさんや」


「えっと……そうですね……」


 俺がそう聞くとディーネは顎に指を添え、少し考えるようなそぶりを見せる。

 少しの間そうしていると、ようやく考えが纏まったのか話し始める。


「……すみません。わたしも回復役として前線にいたはずなんですけど……」


「覚えてないか……?」


「はい……」


 え~っと……マジで?

 シルフィに話を聞いてた時から思ってたけど、やっぱりこのシルフィ達が戦ったって相手は相当やばいなよなこれ。

 少なくとも今判明してる情報だけで


 ・あのとんでもない魔法を使うシルフィみたいな上位精霊達が戦いで負ける。

 ・記憶をいじれる可能性あり。少なくとも記憶を思い出せなくすることは出来る。

 ・シルフィ達を結晶のようなものに閉じ込めて魔力……俺達で言うところのMPを継続的に吸いとる技術がある。


 だぞ?


 これだけでもシルフィ達が戦ったって言う相手がとんでもない存在だってわかる。

 で、シルフィをレベルで換算したら最低でも10000~12000ぐらいは確実にありそうだし。

 というかそれ以上となると俺じゃわからない。


 そもそも俺は今の時点でレベルが5000台だからな。

 シルフィのレベルだってただの予想だ。


 そんなシルフィ達との戦いに勝つ存在って……。

 こうなるとこれからはもっとレベルを上げなきゃな。

 当然シルフィ達の仲間探しも平行して。


 ……それと多賀谷が変質した存在、莉奈の体を乗っ取った悪魔という存在。こいつらとの関わりはあるのか?

 ……でもこいつらは俺が勝てるぐらいの強さだったしな~……。


 シルフィ達が戦った相手とは別物と考えて良い……よな?

 ま、確証もないし確認するのはもうちょっとシルフィ達の様子を見てからだな。

 ふとした時に思い出せるかもしれないし。


「そっか~……まあ、それは仕方ないな」


「すみません。ですが、これからはシルフィと同じようにわたしもカエデ様には協力させていただきますので」


「いや、その辺は気にしなくっても良いんだけど……。えっと……良いのか?」


 頭を下げてきたディーネに少し困惑しながらも俺がそう聞くとディーネはこくりと頷く。


「はい。シルフィと共にいると言うことはシルフィもカエデ様と一緒に戦っているのでしょう?

 でしたらわたしはカエデ様と共に行動させてもらいます。もちろん恩返しのためではありますが、シルフィの仲間としてわたしもカエデ様を支えますよ」


「……なるほどなぁ。まあ、俺は助かるしありがたいけど……。とりあえずこれからよろしくなディーネ」


「ふふっ……はい!」


 俺の言葉にディーネは満面の笑みで微笑む。

 それにつられて俺も笑いそうになった時……。


「ディーネもカエデもわたしを仲間はずれにしないでよ~」


 というシルフィの少し不機嫌な声が聞こえてきて、俺達は顔を見合わせて笑いあった。


 まあ、これからシルフィとディーネの仲間を探したり、そのために上位のダンジョンに入るためのゴールド資格を取ったり、レベルを上げたり。

 それにシルフィ達が戦ったっていう相手の情報収集。


 やることは盛りだくさんだし……大変そうだけど、これから頑張らないとな。

 けど……今日ぐらいはもうちょっと休んでても良いよな?


【書籍化・8月30日1巻発売予定!】


最後まで読んでいただきありがとうございました。

ブックマーク、評価、いいね、ありがとうございます。

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[一言] 最後「オレたちの冒険はこれからだ!」で終わったらよかったのにw
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