第三十六話 魔王からの宣戦布告
『……ザザ……ザ……』
帝都の上空に現れた巨大なモニターからノイズ音が流れる。
次の瞬間、モニターに一人の男の姿が映った。
白と黒のカラーが逆になった燕尾服、白いソフト帽を着込み。
顔は整っているが、色白で全く生気を感じさせない。
鮮やかな赤い瞳が特徴的な、不気味な男だった。
その男の背後には、気絶している皇女と――アリアとクララの姿があった。
モニターからノイズ音が消える。
男が口を開いた。
『私の声が聞こえているだろう? 臆病者の皇帝よ。貴様の娘はいつでも殺せる状況にある。奪い返したければ、私を倒してみせるがいい。“常夜城”で貴様らが来るのを楽しみに待っている』
男が残酷な笑みを浮かべる。
『最後に、今もモニター越しに私のことを見ているのだろう? 吸血鬼となって公爵家を追放されたリリスよ』
どうやら、この男は私にも用があるみたい。
ちょうどよかったわ。
二人を傷つけてくれた借りを返しに行く気だったもの。
『常夜城に来るなら、貴様の仲間には手荒な真似をしないと約束しよう。貴様と私は似た者同士なのだ。私の期待を裏切るなよ』
話を終えた男が、最後に名乗る。
『私は今代の魔王だ。戦争といこうじゃないか』
魔王を名乗った男が不敵な笑みを浮かべる。
全てが自分の思い通りに行くと確信したように。
ご丁寧に常夜城の位置が記された地図が映されてから、モニターは消え去った。
「魔王……か。私の仲間に手を出したらどうなるのか、身をもって教えてあげるわ」





