第91話 いよいよ完食カードがコンプリートだ
「ふう。いつ食べてもここの特盛はうまいな」
あと、スープが少しだけ残った器を前に、考えていた。
今週水曜日に初めてこの店に来て、今日で3回目だ。
昨日も来て、特盛を完食して完食カードで2つ目のスタンプを押してもらった。
そして、今日はいよいよ3つ目のスタンプを押してもらう。
完食カードがコンプリートする、つまり特別室に招待されるってことだ。
「なんか、どきどきするな」
特別室というのはどういうところなのか?
とにかくこの店の女の子は美少女すぎる。
まぁ、店名が《美少女》というだけあって、看板に偽りなしだ。
その中でも俺はミランちゃん推しだ。
小柄でおっとりした感じのミランちゃん。
見ているだけで癒されるぅー。
あ、嘘だな。
2回飴を買ってディープキスしちゃったからな。
だけど、ミランちゃんって、JKどころかJCくらいの年齢に見える。
いいのかな、と思うけど……飴買ってって言われると拒否できないしな。
「さて、最後のスープを飲んで、と」
器に口を当てて、最後のスープを一滴まで飲み干すと。
「おめでとうっ」
うわっ、器を下すと目の前にミランちゃんがいた!
それもすぐ近くに。
カウンターの上に乗りだしているのか。
いきなりだったから、びっくりした。
昨日、2個目のスタンプを押してもらったから、覚えていてくれたみたいだな。
今日が3個目だって。
「ありがとう」
「指名は私でいいですか?」
「も、もちろん」
いつもはピンクドリル髪の子が聞いてくるんだけど、今日は本人なんだ。
やっぱり、完食カードのコンプリートだからかな。
ミランちゃんと一緒に会計レジに行って、また飴を買ってディープキス。
昨日より長い気がするぞ。
さて、いよいよだ。
特別室にご招待だ。
「一緒に特別室に行きましょう」
「あ、はい」
なんか緊張してきたぞ。
どういうとこなんだろう、特別室って。
ミランちゃんに連れられて、特別室って書かれた扉をくぐる。
その向こうには……でんごくがあった!!
ちょっと照明が抑えられていて、ムーディーな感じがする部屋。
広さはそうだな、10畳くらいか。
そこにいくつもの大きいビーズクッションがある。
そこに美少女とお客と思われる男が一緒に座っている。
ビーズクッションだから、どうしても身体が密着してしまう。
というより、密着するようにしているのか?
美少女と距離ゼロで座ってしまうなんて。
なんて天国なんだ。
「あそこにしましょう」
「ああ」
空いているビーズクッションに僕の手を引いて向かう。
まずは俺が座るのか。
さすがにあんまり中心近くに座ると密着したがっているの、バレバレだな。
ちょっと端っこに座ろう。
「だぁめ」
「えっ?」
「もっとこっち」
手を引っ張られてビーズクッションの中心近くに移動させられてしまった。
「わたしも座るね」
「ああ」
僕の右隣のすぐの場所に座った。
あ、いい匂いがする。
シャンプーの匂い?
「いつも来てくれてありがとう」
「うん。ミランちゃんに会いたくてな」
「嬉しい」
あ、抱き着いてきた。
ほっぺにチューだ。
ところで、ここってどこまで許されているんだ?
下手なことをしたら、監視カメラがあって怒られるとか?
「完食カードコンプリートしたから、30分は無料なの」
「あ、30分なのね。それ以上は一緒にいられないとか?」
「チップ1枚で30分追加。あ、チップは1枚500円なの」
1時間1000円で、この天国にいられるのか。
もちろん、延長するぞ。
今日は3万円持ってきたからな。
「あと、いろいろとチップでできることあって」
「えっ、裏オプありなの?」
「裏オプって何?」
あ、いけない。
JKマッサージの専門用語を使ってしまった。
そういうとこ、じゃないよな……ラーメン店だし。
「あー、忘れてくれ。要はチップがあるといろいろしてくれるってことかな?」
「そうなの。チップ買ってくれる?」
「よし、まずは10枚買おう」
「嬉しいっ」
さて、この10枚のチップで、何かできるのか。
これから調査だな。
☆ ☆ ☆
「うーん、天国だった」
しかし、4時間もいて3万円は安いんじゃないか。
美少女にあんなことやこんなことをしてもらって。
絶対又、来るぞ、特別室!
毎日帰りに寄れば、3日後は特別室だ。
しかし、毎日、特盛食べていたら体重がどうなってしまうのか。
そこが心配だけど、まぁ、今はミランちゃんのことだけ考えておこう。




