第89話 意外と使える奴だった
本音を言うと社会性がなさそうなオタクだから、手間仕事をやってもらおうと思ってた。
ところがこいつ。
意外と使える奴だった。
「要はニナちゃんの友達たちが、何か仕事ができるようになればいいのね」
「そうだ。なんかいい手はないだろうか」
どうしても俺が考えると、エッチな方向に行ってしまう。
思考の罠ってやつだな。
まぁ、それなりに売上はあるけど、やっぱり堂々とはできないから、売り上げが大きく増えることもなさそうだ。
「それなら、ハンドメイド系がいいかも」
「ハンドメイドって。そんなの誰が買うんだ?」
まぁ、俺もそれは考えてみたことはある。
手作りって、異世界では当たり前だけど、日本では価値があるからな。
しかし、どうなんだろうか。
「今はフリマサイトがあるから、直接、欲しい人が買ってくれるよ」
「そうかぁ~? なんかで手作りした物を売ろうとしたら、全然売れないって読んだことがあるぞ」
「それはちゃんと売れる物を作らないからだよ」
二木によると、フリマサイトでは明確な売れ筋があるという。
それから外れると、いくら作っても売れないハンドメイドになってしまう。
「とにかく手間が掛けられるっていうのがいいね。じっくりと手間を掛けた品を出品すれば1品で5000円はいくよ」
フリマサイトで売れるのは、どっちかというと安い品。
1000円から1500円くらいのもの。
これには送料も入っているから、利益がそんなに出ない。
俺の認識はそんなものだ。
だけど、こいつに言わせると高くても売れる物があると言う。
「ぬいぐるみの服が今、旬だよ」
ディステニーランドのおみやげ定番、ダッチィーのぬいぐるみの服が良く売れている。
全く知らない世界の話だな。
「それこそ、人気のある人だと数時間で売れているよ」
それはいいことを聞いた。
ぬいぐるみの服なら、材料は日本製になる。
異世界製ではないから、ネットで売っても転売扱いにはならないはずだ。
要は布を買って、異世界の女の子に手縫いしてもらって、フリマサイトで売る。
うん、なにも問題はなさそうだ。
「しかし、どうやって作ったらいいのか、二木は分かるのか?」
「僕もそれは知らない」
「それじゃ絵にかいた餅じゃないか」
「そういうときのために、ヨーチューブ先生がいるんだよ」
とにかく分からないことは、ヨーチューブに聞く。
それがネット系の人間には常識になっているそうだ。
「そういえば、ニナも暇な時は古着リメイク班の手伝いをしていたな」
「あ、ニナちゃん、裁縫できるのね。じゃあ、まずは僕とニナちゃんでやってみるね」
おっと、こいつ。すごくうれしそうな顔になったな。
まぁ、一緒になんかできる。
うれしくだろうな。
「よし、必要経費は10万円まで出そう」
「あ、お金はいいよ、僕が出すから。その代わりニナちゃんを独占させてね」
「それはいいが。あー、ふたりきりじゃなくてもいいか?」
「えっと……いいけど。。。」
あー、ふたりきりが本当はいいんじゃないのかな。
だけど、効率を考えたら、もっと女の子を増やしたいな。
「あと、ふたり。ニナちゃんと同じくらいの年齢で同じくらいかわいい子をつけるっていうのはどうだ?」
「えっ、かわいい子? えっと、その」
「できるだけ、技術を持った女の子を増やしたいんだ。あ、ただ、異世界の女の子はちょっとエッチだったりするから気をつけろよ」
俺もついついしちゃったことあるから、ちょっとだけ注意をしておこう。
まぁ、お互いの了承の上だから、そんなに気にはしないがな。
「あ、はい。気を付けます」
なんか、真面目に答えているな。
まぁ、こいつはネットで稼ぐことに関してベテランみたいだからな。
なんと小学校のころからやっているらしい。
「ニナちゃんと2人の古着リフォーム班の女の子をよろしく頼むな」
「はい。任せてちょうだいな」
うん。
うまくいくかどうかは、これからだけど。
可能性は多い方がいいに決まっているしな。
いまのところ。
異世界のかわいい女の子は仕事がなくて余っている。
いろいろとチャレンジさせるのはいいかもな。
異世界ハンドメイド計画。
うまくいくのかどうか。
結果が気になるなら、↓で評価の☆を押してね。




