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第60話 冒険者から裏話を聞いてみた

魔法ギルマスが帰ってから、しばらくすると、冒険者の魔法使いがやってきた。

本を何冊か買っている常連さんだ。


「新しい魔法の本が入ったと聞いたんだが」

「あ、水魔法が入っています。だけど」

「ん? 売れきれたのか?」

「いえ。商品はあるんですが、どうも冒険者ギルドで禁止みたいなので」

「あー、あのことね」


確かに冒険者ギルドで魔法の本のことが掲示されているらしい。

魔法ギルド以外で買うのは偽物が出回っているから禁止だと言うのだ。


「ここのは偽物じゃないしな。それは私が使ってみて分かっていることだ」

「でも、いいんですか? ここのを持っていると冒険者ギルドで問題になるんじゃないですか?」


素朴な疑問で聞いてみた。

そしたら、大丈夫らしい。


「冒険者ギルドには持っていく気がないから大丈夫だ。騒いでいるのはギルマスだけだしな」

「えっ、どういうことでしょう」

「冒険者ギルドのギルマスはただのお飾りだ。騎士爵を持つ貴族なんだよ」

「というと?」

「冒険者上がりの実力者は副ギルマスにしかなれないんだ。副ギルマスは、ここの本のことを知っているが見てみぬふりをしている」

「へえー、そうなんですね」

「副ギルマスによると、ここの本が出回ってから、依頼の失敗率が下がっているらしいぞ」


おっと、そんな効果があるのか。

魔法使いが増えたってことかな。


「魔法使いのレベルが上がっているんだ。いままで、我流のやり方しか冒険者の魔法使いはできなかったからな」

「そうなんいですか」

「ああ。魔法学校に行ける奴は騎士団には入るが、冒険者になんかならないからな」

「あー、そういうことですね」

「私もそうだけど、我流だとどうしても限界があってな。それを超えるためには、ちゃんとしたやり方を知らないといけない」

「それに、ここの本が役立つってことですね」

「そうだ。冒険者だと魔法ギルドに所属することができないから、基本、魔法の本は買えない。買えたとしても、ギルドメンバーの横流し品だから金貨20枚くらいする」


なんと。金貨10枚ではないのか。

それはメンバー価格ということか。


「今、冒険者ギルドでは魔法使いの地位が上がっていてな。使える魔法が増えたから、パーティの中でも役立つようになってな」

「それはよかった」

「パーティ自体の戦力も上がっているから、ランクアップするパーティも増えているぞ」

「それはすこいですね」

「それもこの店のおかげだ。副ギルマスは立場上、禁止の掲示はするが本気じゃないさ」

「すると、副ギルマスはこの店の敵ではないと」

「ああ。笑い話があってな。副ギルマスが魔法ギルドのメンバーと話す小話だ」

「へぇ、どんな?」

「うちのギルドでは偽魔法の本が流行って困っているという話だ。だけど、不思議とランクアップする魔法使いがいるパーティが多いってうちの副ギルマスが話てな」

「うんうん」

「すると、魔法ギルドメンバーがどこの店で偽魔法の本が売っているか聞いてくると言う話」

「この店のことですな」

「そうそう。偽物だから気を付けるようにとここの店の場所を教えるって話」

「落ちは?」

「なぜか、魔法メンバーの間で偽魔法本の売っている店のうわさが広まったってこと」


あれ。

最近、魔法の本が売れると思ったら、冒険者だけじゃないのかもしれないな。

どんな魔法の本なのか、確かめに魔法ギルトのメンバーが買っているのかも。


「最近、偽魔法の本が売れると思ったら。もしかしたら、偽魔法の本を買って試しているのかもしれませんね」

「魔法ギルドの本はメンバーでも高いからな。もしかしたら、偽魔法の本であっちのメンバーもランクアップしているかもしれないな」


ふたりで笑いあった。

水魔法の本をお買い上げもらい、土魔法の予約をもらった。


これなら、どの本も増刷しておいた方がいいかもしれないな。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 小噺ライクで大変よろしいです。 仕返しは怖いですが…貴族ってコワい…蒼き正常なる世界のために。 [一言] 仕事が佳境で私的活動時間がたりませぬ…
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