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第59話 魔法ギルドからクレームが入ったぞ

今、市民区にある《ビッグ・アマゾーン》1号店では、魔法の本が売れている。

金貨1枚という高価な物であるにも関わらず、魔法が使える冒険者に人気なのだ。


元のデータは、ルモンドの物だから、ちゃんと利益は山分けしているぞ。

もっとも、原価の部分にも俺の利益があるから、一冊売れると利益は俺の方が多いのは内緒だ。


「おっ、また新しい魔法の本か」

「今度は土魔法だぞ」


ルモンドは本の増産で利益が出ることに味をしめて、新しい魔法の本をどんどんと買っているようだ。

元々、欲しかったのだろうけどな。


「では、いつものように委託販売しますか?」

「ああ、10冊は委託で。残りは普通に販売ということで」


元の本代は委託分でカバーできるのだろう。

あとは、うちで冒険者達に売ってそれがそのまま利益になる。


無料で好きな魔法の本が手に入って、その上利益がでる。

ルモンドにとっては、おいしいビジネスのようだ。


「これは売れますかね」

「火魔法よりは人気ないからな。半分くらいだと思ったらいいだろう」


そうか。


火魔法はあっと言う間に10冊売れてしまったからな。

最初から10冊用意しておこう。


そんなことを思っていたら、いかにも魔法使いという黒いローブを着た男が入ってきたぞ。

ぐるんと持ち手の部分が曲がっていて、大きな宝石をつけた杖を手に持っている。


「この店で魔法の本を売っていると聞いたのだが」

「はい。今は5種類ありますよ」

「ほう。一冊金貨1枚というのは本当か?」

「物によって違いますが、中級魔法の本なら金貨1枚ですよ」


それを言うと、なぜか苦々しい顔をした。

高くはないはずなんだがな。


「どうして、そんなに安く売れるんだ?。ちょっとみせてみろ」

「えっと、 これですが」


とりあえず、中級魔法の本を見せてみた。

苦々しい顔をしたローブの男に。


「やはり、西方の紙だな。この紙はどこから手にいれた?」

「企業秘密です」


なんだ?

魔法使いなのに、商人なのか?

同業ってことか?


「まぁ、よい。誰に断って魔法の本を売っているんだ?」

「えっ、別に許可いらないはずですが」


著作権なんて、ここにはないはずだ。

勝手にコピーしているのは事実だが、文句言われる筋合いはない。


「魔法の本を売るのは魔法ギルドだと決まっているんだぞ」

「あ、もしかして。魔法ギルドの人ですか?」

「魔法ギルドのギルマスだ」


あ、ギルドマスターでしたか。

一番偉い人がわざわざ、こんな小さい店に来たのか。


「そのギルマスさんがなんの御用ですか?」

「何を言っておる。お前が魔法の本をバカみたいな値段で売るから、ギルドで売れなくなっているんだよ」


あー、そういうことか。

そりゃ、羊皮紙の思い本が金貨10枚だったら、軽い紙の金貨1枚の本の方が良いに決まっているよな。


「それは、ギルドの本が高すぎるからではないですか?」

「ふざけるな。ギルドの権威がない魔法の本など、偽物に決まっておる」

「そんな。この本を買った冒険者達は喜んでくれていますよ」

「ふざけるな」


ヒートアップしてきたら、ロープを脱いで真っ赤になった顔を見せた。

威嚇なのかな。


あ、髪はやっぱり金髪なのね。

それも綺麗な金髪、中年なんだろうけど、ふさふさだ。特権階級なんだろうなー、ギルマスだし。


「とにかく、魔法の本は売るのをやめてもらおう。ここにある本は没収だ」

「そんな勝手な!」


うーむ、これじゃ強盗みたいな物じゃないか。

どこに文句を言ったらいいのかな。


「冒険者ギルドにも話をつけてあるギルマスの名前で魔法ギルド以外の本を禁止すると決まったぞ」

「なんと!」


冒険者ギルドが禁止したとなると、無理かもな。

どうするか。


「要件は以上だ。帰るぞ」

「帰れますか?」

「なんだ?」


どうなんだろう。

その扉を通ることができるのか。


ご禁制の本だから、焼却処分をするつもりなら出れるだろう。

転売するつもりなら、出れないはずだ。


「そこから出れますか?」

「ふざけるな。脅しのつもりか。高位の魔法使いに脅しとはな。はははは」


いや、脅しではなく、単に出れるかどうか、なんだけど。


「おい、カギをかけやがったな」

「カギではないですよ。この店から持って出た品物を転売しようとしているからですよ」

「はぁ? ふざけるな。よし分かった。勝手に帰らせてもらうとするぞ」


そういうと、杖を振りかざして何やらつぶやく。

うわっ、魔法かっ。


「「ん?」」


お互いに顔を見合わせた。


「不発ですか?」

「そんなバカな」


その後も、いろいろと試しているみたいだけどうまくいかないらしい。

あ、この狭間の部屋だと魔法は使えないのか。

だけど、ライター代わりの魔法は使えたけどな。


「害を及ぼす魔法は使えません」


あ、管理人の解説が入った。

そういうことか。


「駄目みたいですね。どうします?」

「なぜだ? 魔法シールドがあるというのか」

「いやぁ、そういうのはないんですが」

「確かにな。そんな魔力は感じないが」

「本を置いていってくれれば、大丈夫です」

「なんだと」


その後30分くらい、ごちゃごちゃ言っていたが諦めて帰っていった。

だけど、冒険者ギルドで禁止となると問題だな。


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