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第56話 古着をスラムで売ってみた

「結局、220㎏か」


友人のところに行ってみたら驚いた。

なんと、転売できない古着が220㎏もあったという。

まぁ、5㎏の古着がいくらで転売できるか不明だが、俺としたらよかったと言えるな。


1㎏50円だから、1枚20円くらいで各種古着が手に入ったぞ。

これを異世界に持っていって転売だ。


「すごいっ」

「だろう。これならここで売れると思わないか」

「絶対売れるよ。いくらで売るの?」

「基本は大銅貨1枚だ」

「ええーー」


青髪少年がびっくりしている。

普通の古着が銀貨1枚のところを大銅貨1枚。

それもこっちの服と違ってカラフルな物が多い。


「だいたい、本当にこれ古着なの?」

「そうだぞ。お前の来ている服よりはよくないか」

「僕の服なんて論外だよ。古着屋さんに売っているのより、すごく新しいよ」


だいたい服というのは、新品がまず富裕市民が買って、着れなくなった物が市民の古着屋に出る。


だけど、そこだとまだ値段が銀貨2~3枚だから、そこで市民が買ってさらな着古したのがスラムのあたりに流れてくる。

それでも銀貨1枚より安くはならないそうだ。


「それだと、ボロボロじゃないのか?」

「そうだよ。これだと市民が買うような古着だよ」


日本だとB級の古着がこっちだとA級の古着になるのか。


「だけどさ。遠くの国から買ってきた服だから、こっちの人達に受け入れもらえるかな」


どんなに状態がよくても、ファッションとしてはどうなのか。

微妙なところだな。


「まぁ、最初は戸惑うかもしれないけど、そのうちうまく着まわしてしまうって。スラムの連中はその点は天才的だからね」


たしかに、スラムの人達のバイタリティはすごい。

なんでもアレンジして、自分達の生活の役に立ててしまう。


「では、まずは人気にんなりそうなのと、そうでもないのを分けてみるか」

「うん。女の子達にも手伝ってもらおう。男だけだと女物は分からないからね」

「そうだな」


最初は50㎏、150枚くらいを用意した。

残りは狭間の部屋の倉庫に入れておいた。


「3つに分けるぞ。上は人気になりそうな物、中はそこそこ。下は人気なさそうな物、みんないいか」

「「「「はーい」」」」


やってみると、すごかった。


「これ、いいわ」

「これっ、どうやって着るのかな。あ、こうね」

「わー、かわいい」


女の子3人がファッションショーを初めてしまった。

まだ、洗濯とかしていないから埃もたくさんついているんだけど、気にしないみたい。


「これはどうだ?」

「ありだね。Aでしょう」

「これは?」

「うーん。Bかな」


結局1時間くらいかかって仕分けしたら、半分以上がAになってしまった。

Cはほんとうにボロボロな10枚くらいしかない。


「うーむ。Aをさらに分けるぞ」

「どういうこと?」

「Aのうち半分を人気が出る物として分けてくれ」


なんとか、A、B、Cを分けてみた。

Aを大銅貨2枚、Bを大銅貨1枚、Cを銅貨5枚に値付けした。


「これで売りだしたら、売れるかな」

「売れる売れる! これとこれとこれ。私が買う!」

「ずるい。じゃあ、私はこれとこれ!」


すでに取り合いになってしまった。


彼女たちは撮影会モデルをしているから、収入がそこそこある。

このくらいの値段なら、余裕で買えるようだ。


「だって、コスプレみたいな綺麗な服欲しかったんだもん」

「そうそう。貴族の服みたいだねーって言ってたの」


あー、目が肥えているんだね、君たち。


「よし、明日。《ビッグ・アマゾーン》スラム支店を開店するぞ」

「「「「おー」」」」


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