第50話 異世界アンティークはネットで売れるのだろうか
「これは、3万円にしてみるか」
買ってきたアンティークをひとつひとつスマホで写真に撮り、フリマアプリで出品する。
値段はよくわからないが、他の人の出している商品を参考に値付けした。
少し安めにしたから、売れるんじゃないか。
どういう品かは、ミッシェルのメモを元に文章を作っていく。
もちろん、メモの通りではなく、国名とかをアレンジしてだが。
「ふう。これで10品目と」
意外と手間がかかるな。
ひとつひとつ、頭を使ってアンティーク好きな人が欲しくなるように準備をする。
フリマアプリは何度か利用したことがあるが、安い値段の物だったからな。
数万円の商品を売るためには、気合の入れ方が違ってくる。
「しかし、どうなんだろうか。売れるのだろうか」
一番の不安が手渡し希望なこと。
普通は宅配便とかで送ってくれるもの。
家具のような大きい物なら手渡し希望もあるが、宝飾品だと手渡しは珍しい。
「だけど、本当に中世の暮らしをしている人が使った品だからな」
偽物じゃないよ、偽物じゃ。
ちゃんとしたアンティークだから、好きな人にはたまらないんじゃないか。
「さぁーて、がっばって来いよ」
ひとつづつ、アンティーク商品として、フリマアプリに出店していく。
頼んだぞ。
☆ ☆ ☆
「駄目かぁー」
出品から3日が経過したのに、まだ一品も売れていない。
どうしてダメなのか。
「やっぱり、自分が興味がある物でないと売れないのか?」
俺が興味ある物か~。
鉄道模型と言う訳にはいかないしな。
鉄道なんて異世界にはないし、馬車の模型ならあるかもしれないがそんなの日本で売れるとは思えない。
「俺が好きな物か」
食べ物ならラーメンだな、断然。
ラーメンを売るとなると、フリマアプリが使えはしないしな。
「あと、俺が好きな物か」
あとは、アイドルか。
たしかに、今、俺の店のために働いてくれている女の子達はかわいいな。
日本だと中学生くらいになるはず。
アイドルとして売り出して……。
さすがに無理あるな。
アイドルを売り出すためのプロデューサがいないし。
だいたい、狭間の部屋には来れるけど、日本にまではこれやしない。
それじゃアイドル活動ができるとは思えない。
「だけど、なんか手はないか」
PVなら作れるだろうなー。
異世界でも、狭間の部屋でも、撮影すればいいんだし。
撮影した動画は、ネットに流せばいい。
「あっ」
いいことを思いついた。
これなら、うまくいくかもしれないな。




