第48話 また、広くなったぞ
お店は順調に売り上げを伸ばすようになってきた。
娼館のお姉さんだけじゃなくて、冒険者や魔法使い、商人もやってくるようになった。
大工をはじめとする職人たちもお客さんになってくれた。
まだまだ、お化粧品等の女性向け商品が多いけど、アウトドア商品や日用品もだんだんと増えてきた。
あと、ルモンドから預かっている中級魔法の本も人気だ。
紙と印刷代は原価として、売価から原価を引いた利益をルモンドと折半する。
そんな契約で、中級魔法の本を売っている。
他の本も手に入ったら、同じように売る予定だ。
なんだかんだで、お店を開いて1カ月が経つ頃。
「おめでとう! レベルアップしてレベル3になりました」
いきなり、管理人さんの声が響いた。
「狭間の部屋の面積がさらに4倍になります」
さらに4倍か…50㎡の4倍なら200㎡だな。
広めの1軒家がだいたい100㎡だから、2軒分か。
随分と広くなるな。
「異世界と元世界の扉がもう2つづつ増えます」
今は2つあるはずだから、4つづつになるのか。
まだ店としてしか使えていないけど。
「トイレが作れるようになりました」
おー、トイレ。これで公園のトイレもオマルも不要になるな。
「キッチンが作れるようになりました」
おー、キッチン。だけど、使いそうもないな。
食べるのは大抵異世界の食堂で済ましている。
あのオーク肉の高級店に行っても、銀貨数枚あれば足りるしな。
屋台の串焼きなら、大銅貨1枚で腹一杯だ。
場所はあるから作るだけ作って使わないかな。
おっと、もっといい方法を考えた!
メイドさんだ!!
メイドがいればいいんだ。
よし、青髪少年にメイドさんを紹介してもらおう。
掃除、洗濯、食事とみんなやってもらやう。
「シアタールームが作れるようになりました」
シアタールームだって?
だんだんと豪邸的な部屋が作れるようになってきたな。
いろいろと楽しみだ。
「まずは、店を拡張するぞ」
「はい。店はどのくらいの広さにしますか?」
「そうだな。30㎡にするか」
「やり方は分かりますね」
「もちろんだ。棒で床に書けばいいんだろう」
「そうです」
俺は店をはじめ、自室とプライベートの風呂とトイレ。
キッチンとシアタールームも作った。
シアタールームはスクリーンを指定するとどんなに大きなスクリーンも作れる。
もっとも、天井の高さは3mくらいだから、大きくすると横長になってしまうがな。
いろいろと試して5mほどのスクリーンが一番いいようだ。
そこに映すソフトは、ネット経由でもDVDでもなんでも可能なようだ。
スクリーン横のボックスにDVDを入れると再生されるようだ。
「おっ、棚も作れるようになったんだな」
「はい。棚だけでなく、扉付きのキャビネットも作れます」
「これも床に書くだけか?」
「そうです。イメージしてもらえれば、その通りの物ができます」
レベル3にもなると、すごく便利だな。
しかし、レベル3になるまでに店で金貨300枚ほど売ったな。
次にレベルアップするには、どれだけ売ればいいのかな。
「キッチンはシステムキッチンみたいのは作れるのか?」
「もちろんです。床に書いてもらえば、イメージ通りになります」
「すげーな」
キッチンは、対面キッチンにしたぞ。
あまりイメージができないから、高級マンションのパンフレットを持っていた。
なかなか、便利だな。
「おっと、冷蔵庫も作れるのか?」
「もちろんです。キッチンにある家電や什器は大抵、イメージすればできます」
あまり住むところにはこだわりがない方なんだが、相当レベルの豪邸が作れる仕様らしい。
狭間の部屋が広くなったから、従業員用の部屋も用意することにした。
メイドさんの部屋と店関係のスタッフの部屋。
メイドさんはふたりを予定しているから、6畳くらいでいいか。
ベッドも作れるようになったから、シングルサイズをふたつ作った。
スタッフ用は10畳くらいにした。
雇っているスタッフは15歳の成人になる前の少年少女だから、ダブルサイズのベッドを2つ入れた。
男の子用と女の子用だ。
まぁ、女の子の方が多いけどいいか。
どう使うかは、本人たちが考えるだろう。
なんだかんだ必要な部屋を作ったが、まだ余っている。
残りは必要になってから、作るとするか。




