第38話 初めてのお風呂はふたりで
「驚いたわ。お店の後ろ側がこんなふうになっていたなんて」
ソフィと一緒に店に戻った俺は壁を通りすぎた。
残念ながら異世界人のソフィは壁を通り抜けられない。
まずは、広くなった狭間の部屋を赤い棒を使って、赤く覆うことにより床が全部赤くなった。
これでソフィにとって、壁がなくなったことになる。
全体で6畳の4倍。
6畳が10㎡だから、その4倍の40㎡。
今の狭間の部屋は、それだけの広さがある。
まずは異世界ショップの入口扉の移動だな。
一度、異世界に扉から出て、店名プレートを160㎝ずらす。
すると扉もズレて現れる。
「む、入りずらいな」
ちょうど扉の真ん中くらいに棚がくる。
それを避けて中に入る。
「こんどはここが店の入り口だ」
「すごい。そんなに簡単に扉を動かせるの?」
「ここは特別な部屋だからな」
ソフィにも手伝ってもらって、棚を移動する。
とりあえず、扉から見て左側に2つの棚を並べて、幅が狭い棚を扉の対面で左側に合わせて並べる。
L字の形で棚が並んだ。
これでいい。
店はいままでの3畳5㎡から、6畳10㎡に広げるつもりだ。
扉から右には何もない形になるから、テーブルでも置くとするか。
お客さんにおいしいお茶でも出せるようにな。
高級品を扱っているんだから、そのくらいのサービスは必要だろう。
「こっちはどうするの?」
異世界側からみて、店のエリアの左側は空いた状態だ。
そこにお風呂を作るんだ。
「そこは風呂だ」
「風呂? 風呂って貴族たちがお湯を入れて入る、あれ?」
「そうだ」
俺は店から60㎝開けて緑の棒で大きく四角を描く。
床の色が緑になった。
「この緑のところが風呂場だ」
「ふーん」
「で、ここが風呂だ」
緑の四角の中に、緑の棒で豆型に囲う。
すると、そこが陥没してお湯が流れ込む。
「えっ、どこから水が出てきたの?」
「水じゃないさ。お湯だ」
そんな話をしていたら、頭の中で声がする。
「浴槽は岩風呂、ヒノキ風呂、ユニット風呂のどれにしますか?」
「そうだな、イメージは露天風呂だから、岩風呂だ」
頭の中で答えると浴槽がごつこづした岩で囲われる。
大きな石をセメントに固めた感じではなく、でっかい岩をくり抜いた感じの岩風呂になっている。
すごいな管理人!
「これくらいは簡単よ。蛇口やシャワーも欲しい?」
「欲しい!できるのか?」
「イメージして、緑の棒でつつけばできるわ」
うーん、なんとも便利だな。
「こことここが蛇口で、レバー式で温度調整ができるタイプ。その上にシャワーだな」
「わー、なんか出てきた!」
蛇口とシャワーが生えてきたって感じだな。
うむ。魔法みたいだ。
「よし、これでお風呂が完成だ」
「これって入れるの?」
「もちろん」
ふたりで裸になって、お風呂を満喫したぞ。
日本の便利を異世界に持ち込んだった。
まぁ、商品持ち込みしまくりだから、今さらか。
ということはおいておいて。
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