第34話 もしかしてハマっているかも
俺はまた、娼館に来ている。
ランクで言えば中級の下と紹介されたとこ。
ソフィちゃんの店だな。
今夜はソフィちゃんと過ごすと決めたのだ。
「やっぱり、いまのとこソフィちゃんが一番気に入っているな」
ミッシェルさんもいいけど、恋人感覚になれるはソフィちゃん。
恋人を持ったことがない俺としては、ソフィちゃんと一緒にいると恋人ができたような気になる。
「こっちの世界の娼館は、恋人みたいに接してくれるのがいいな」
ソフィちゃんだけじゃなくて、ミッシェルさんもそうだった。
スラムの5人の女の子もな。
さすがにスラムの子達は恋人としては犯罪感があるし、ミッシェルさんだと俺が余裕を持てない。
ソフィちゃんがちょうどいいってことか。
だいたい、美少女だからね。
俺からみたらな。
「あれ?」
「あ。いらっしゃい。ソフィならいないわよ」
「そうよ。今夜は私を連れていってよ」
「何言ってるの。私よ」
娼館に来たのに、ソフィちゃんがいない。
ソフィちゃんと一緒に店に来た女性ふたりはいて、アピールしている。
ふたりにしても、美少女なのは変わらない。
だけど、ソフィちゃんがいいな。
あれだな。
カレーを食べに来たのに、ラーメンでどう?と言われた気分だ。
「ソフィちゃんはいないのか、残念だ」
「ね。私じゃダメ?」
「出直すとするか、今夜はソフィちゃんと決めて来たからな」
「ええー、しょうがないな。あと15分待ってね。奥で準備しているから」
なんだ、ちゃんといるのか。
先にそれ言って欲しかったな。
「ごめんね、嘘言って。だってさ、ソフィがすっごい自慢してるんだもん。美味しい店でデートして素敵なホテルに泊まったって」
「ああ。自慢じゃないが、金は持っているからな」
「それだけじゃなくて、お客さん、すごくやさしいって言ってたわ」
「それは良かった」
「あれから、今日は来てくれるかなってうるさいのよ」
おー、ソフィちゃんも待ってくれていたのか。
恋人同士っぽいな。
「ほら、来たわよ」
「!」
ソフィちゃんが俺を見つけて、すっごく喜んでいる。
手で合図すると、俺のところに飛んできた。
「嬉しい。今夜も一緒にいられるの?」
「もちろんだ。着替えてきてくれ」
「うん!」
喜んで奥に戻った。
あれだな。出てきたときは普通の顔だったのに、俺のことを見てすっごい笑顔になる。
これはやばいな……ハートを射抜かれた気がするぞ。
「いいなぁー。私もやさしくてお金持ちの彼氏が欲しいなー」
「彼氏じゃないだろう。俺は」
「いいの、いいの。私達は本当の彼氏なんて作れないんだから、お客さんが彼氏なの」
本当にそうだな。
彼氏みたいな接し方してくれからな。
「リア充爆ぜろ!」って言わなくなったしな。
「お待たせっ」
「待ちわびたぞ。さぁ、行こう」
「うん!」
必要な手続きをして、一緒に店を出る。
行く先はもう決めている。
「今日もオーク肉でいいかい?」
「あのお店! もちろん。あそこなら毎日でも食べたいわ」
うん、喜んでもらえて嬉しい。
デートとして考えると前と同じ店というのは芸がないけどな。
ただ、今日は別の料理を食べたいのと、ちょっと気になることもあるからな。
☆ ☆ ☆
「俺はこのオーク肉煮込みをセットで」
「かしこまりました」
「私はオーク肉ステーキのAセット!」
「かしこまりました」
うん、この店の接客は完璧だな。
高級店だけあって、気持ちがいい接客をしてくれる。
「今日はずいぶんとすいているんだな」
「この時間はまだそれほどお客様はいらっしゃいません。当店はもう少し遅い時に混みますので」
「それなら、シェフに席に来てもらえないかな」
「かしこまりました。料理が出来てから来させますね」
この店に来たもうひとつの理由。
それがシェフに話を聞くことだった。
待つこと15分くらい。
料理が来た。
ソフィちゃんのはあいかわらず、分厚いオーク肉ステーキ。
俺のはちょっと赤黒いシチューみたいな感じの物。
「これは、オーク肉の赤ワイン煮込みなのか」
「その通りです。オーク肉の力強さを赤ワインで煮込んだ品になります」
「うまそうだな」
「お楽しみください」
10センチ角の塊がごろんと皿の中央に置かれている。
ナイフを入れるとほろっと崩れる。
良く煮込んでいるな。
「おいしいーー。オーク肉最高!」
あいかわらず、食欲がすごいな。
でも、おいしそうに食べているソフィちゃんの笑顔も最高だな。
「おっ」
「それもおいしそうね」
「いや、これはすごい。ナイフがいらないな。フォークで切れるぞ」
「へぇ」
「うまい!」
口の中で崩れて赤ワインで作られた濃厚のソースとオーク肉が一体化する。
ステーキはオーク肉のガツンとしたパワーをストレートに感じるのに対して、赤ワイン煮は繊細に計算されたうまさがある。
「一口ちょうだい」
「ああ。ほら、あーん」
恋人ができたらやってみたい100のことのうち、上位に入るのがこれだな。
普通だったら小さく切って、あーん、するんだろうけど。
ソフィちゃんには最高においしく食べてもらいたいが、大きく切ってフォークにさした。
「あーん。やだ、なにこれ。おいしーーー」
「だろう? ステーキもうまいけど、これもだな」
「うん。他の料理も食べてみたくなっちゃう」
「おう。次は別のを頼もうな」
「うん」
美味しい物を食べられるっていうだけじゃなくて。
次の約束をしてもらえた嬉しさを感じる笑顔。
いいなー。
俺がソフィちゃんに会うなら、店にいけばいい。
だけど、ソファちゃんが俺の店に来ても、普通にお客さんとしてしか接することはできない。
この違いがあるから、次の約束は嬉しいんだろうな。
「お気に召していただきましたか?」
おっ、シェフが来てくれた。
ちょうどふたりで感動していた時だから、ちょうどよかった。
俺はこの店に来たもう一つの理由で行動することにした。
若い娘はいいねっ。幼い娘はちょっと困りものだけどさ。
ほら、バランスってあるじゃない。
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