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425話 破壊神


 破壊神ユグドラシル。存在すら知らなかったそのモンスターの名は当然ヒナタたちにとって初めて聞くはずであった。

 しかしヒナタたちはその名を知っているのだ。何せずっとそこを目指してきていたのだ。


 ユグドラシルの神樹。その実態は強すぎる化け物を抑え込むためにスケリラールによって創造された強大なハコである。

 そしてスケリラールが倒され、その封は徐々に力を失ってきていた。その証拠にヒナタたちが立っている場所が揺れ始めてきたのである。


「……もうあまり時間がないようだ。恐らくあと数刻で封印が解かれてしまう」

「ユグドラシルが、……出てくると?」

「あぁ、そうだ。私は奴を抑え込むことしかできなかった。故に待っていたのだ。私を倒すことのできるものが現れ、奴を倒してくれることを。……あなたたちにこれを託そう」


 そう言ってスケリラールはゆっくりとヒナタたちに近づいてあるものを手渡した。ヒナタはそれに見覚えがある。そう、古びたハープによく似ていた。


「ユグドラシルは凶暴で目に入るもの全てを壊そうとするだろう。……だが奴にも音楽は少しばかり通じるようだ。それを弾けば少し動きを抑えることができるだろう。……そうすればきっとあなたたちならば奴を倒すことができるはずだ」

「その役目は私が担おう」


 振り返るとトップが神妙な面持ちをしていた。確かにトップは古びたハープを持っていたものなのだ。ならばこの手渡されたハープを弾くことも問題なくできるだろう。


「ありがとう。ならばこれはあなたに託そう。……恐らくユグドラシルは復活すれば演者を探すはずだ。短い間にはなるが私の残った力であなたを守る。……いつまで守っていられるかは分からないが、……必ず、ユグドラシルを倒してくれ……‼︎」


 ヒナタはその声に静かに頷いた。それを見て安心したようにスケリラールは微笑むと右手を掲げ姿を消した。振り返ってもトップの姿は見えない。恐らくスケリラールが守っている間姿は見えなくなっているのだろう。そう結論づけたヒナタはゆっくりと前を向いた。


 刹那、大きく強い揺れがヒナタを襲った。凄まじく感じたことのない威圧感が辺りを覆う。間違いない。封印が解かれるのも時間の問題である。


「……ヒナタ! あれを見て‼︎」


 アクアのそんな声が聞こえた気がした。はっきりと聞こえなかったのは同時に轟音が響いたからに違いない。玉座があった場所が大きく割れ、黒い塊がそこから飛び出した。


 それは大きな大きな龍となりゆっくりとその場に降り立った。まっすぐヒナタを見ている。その姿はどこか見覚えがある。……なるほど、龍の掌像にはモデルがいたようだ。


「……グォオォォ!!」


 ……さて、ラストバトルだ。最後の戦いになる。気張っていこう。

tips:

ユグドラシル

スケリラールが創ってしまった破壊の神。あまりに凶暴故にスケリラール自身によって封印されていた。

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