145話 姿が変わる
「進化の祠?」
「そうだ。モンスターたちは皆進化の可能性を秘めている。進化すればステータスが大幅に上昇するほか、新たな属性を獲得するものもいる。条件次第ではあるが、この祠で祈りを捧げばお前たちもまた進化ができるかもしれない」
ヒナタの視線は突然現れたその小さな祠に釘付けになっていた。進化の可能性を言われればそれは仕方ないことである。今彼の頭の中は進化のことでいっぱいであった。そしてそれは隣にいるアクアも同じである。
「……あの祠で祈りを捧げればいいんだよな? 行ってみても?」
「もちろん。私もお前たちが進化できるのか気になる」
ヒショのその言葉にヒナタとアクアは互いの顔を見合って静かに頷いた。祠へは道が繋がっている。今まで影も形もない道であり、通った瞬間に崩れる可能性が一瞬頭に過った。
だがそれは無用の心配であり、特に何の問題もなく全員祠のもとへたどり着いたのである。祠はやわらかな青い光を纏っていた。
ヒナタは期待を感じながら祠の前に立った。何となく居心地の悪さを感じる。正しい場所ではないと誰かに言われているようなそんな感覚である。
試しに一歩前に進んでみた。居心地の悪さは消え、心に落ち着きを感じ始めた。恐らくこの場所が正しい場所なのだろう。祈りを捧げるためヒナタはそっと目を閉じた。
「……汝、進化を望むか?」
「……ああ」
「……汝に新たな力を授けよう」
そんな声が頭の中に響いた気がした。
次の瞬間強い光がヒナタを包み込んだ。自分の体が別の体に変わっていく。そんな感覚をヒナタは感じていた。きっとこれが進化なのだろう。
しばらくして光は収まったようだ。ヒナタは自分の体をゆっくりと眺めた。見る限り体の変化はそれほど無いようだ。たった一点、体の色が赤く鮮やかに染まっている以外は。
振り返るとアクアが嬉しそうな表情を、ヒショが満足そうな表情をそれぞれ浮かべていた。ヒナタはゆっくりと彼らのもとへ向かった。
「無事に進化できたようだな」
「すごいねヒナタ! 進化してさらにかっこよくなったよ! 次は僕の番だね」
アクアはそう言うとヒナタが立っていた場所へ小走りで向かっていった。もちろん自分が進化するのは初めてだが、他のモンスターが進化するのを見るのも初めてである。ヒナタはアクアが強い光に包まれるのをゆっくりと眺めていた。
強い光。……そうか、やっぱりこれが進化なのか。俺もアクアもどうやらその条件とやらは満たせていたようだね。良かった良かった。
しかし進化しても見た目はあまり変わらない感じなのかな? ……お、進化が終わったな。あれ? アクアってあんな見た目だったか?
目の前のアクアの姿は今までのものとは大きく変わっていた。まず貝殻の部分が複雑になり少し大きくなったように見える。そして大きな違いは周囲に電気のようなオーラを纏っている。これは雷属性を獲得したという意味なのだろうか。
tips:
進化すれば覚えられるスキルの種類が増える。今まで使えなかった巻き物が使えるようになることもある。




