109話 進んでいない道
ヒナタは今までの道のりを思い返していた。何度も分岐した道を進んで来たわけではなく、この階層は基本的に一本道だったはずである。それ故に進む先に階段があることをヒナタは確信していたのだ。
だがどう見ても目の前のフロアに階段は無かった。壁を壊して道を作るタイプのゲームではないことは百も承知である。つまりどこかに見落としがあるはずなのだ。ヒナタはその場から一歩も動かず目を閉じてゆっくり確実に思い返した。
…………、ひとつ見てないところがあるな。見る必要もないから引き返した場所だ。……行ってみよう。
ヒナタは先程まで進んでいた道を引き返した。目指す場所はあの場所である。途中のフロアでブタビットと遭遇したがバイトを駆使して難なく突破し、足早にその場所へ急いだ。
そしてその場所へとたどり着いたのだ。その場所は何もないと判断し一瞥しただけで引き返したフロアである。まだ進んでいない通路はここだけ。何かあるとすればここしかないのだ。
どうせ最初のフロアに繋がるだけだと思って確認しなかったんだよなぁ。やっぱり確認は大事ってことだよ。……まさかこんな風に通路が繋がっているとはね。
ヒナタは通路の真ん中で顔をしかめた。通路はヒナタが想定したようにフロアとフロアを繋いでいた。そして通路の真ん中辺りから右に通路が分岐していたのである。フロア側から見ていては絶対に気が付けない分岐である。ヒナタはふっと息を吐き新しく見つけた分岐道を進み始めた。
……お、あったあった。階段だ。たらればでしかないけど、あの時確認してればもっと楽に階段にたどり着けたのにな。ま、実際たどり着けたし良しとするか。それじゃあ階段前に陣取ってるゴーウッドを倒して先へ進むとしよう。
『ヒナタの通常攻撃 ゴーウッドに11のダメージ』
『アクアの通常攻撃 ゴーウッドに8のダメージ』
『ゴーウッドのウィップ アクアに5のダメージ』
『ヒナタの通常攻撃 ゴーウッドに11のダメージ』
『ゴーウッドを倒した 経験値を48手に入れた』
『ツバサのレベルが1上がった』
『HP+2、SP+1、ちから+1、まもり+1、精神+2』
お、ツバサのレベルが上がったか。上がった数値を見る限りツバサは平均的に伸びるタイプのモンスターなんだな。……そうなると俺やアクアと結構差がついちゃう気もするな。レベルアップに必要な経験値は同値だし、だとすると初期についたレベル差はいつまでも埋まらない計算になる。
……まあ、俺たちとのレベル差はそれほど問題でもないか。大事なのはダンジョン内のモンスターたちとのレベル差だからな。そう考えるならツバサは立派な戦力になるね。
さ、次の階層へ進もう。
tips:
モンスターがレベルアップするのに必要な経験値は同じ。コツコツレベルを上げていこう。




