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第109話 『特訓とその成果』

やっべ、展開構成下手すぎてへこむわ……

 

「やっぱり元からパーティ組んで戦ってたようなチームと当たると難しいな」


 フィールドボスの『群狼』を倒して【ララララ】に来る必要があるからだろうか、今回のイベントには1ヶ月というかなり長い予選期間が設けられている。

 そんな予選期間も4分の1程……つまりは1週間近く経ってのトーカの感想がこれだった。


 この1週間で、平日は厳しいとしても休日に時間を合わせてやり込む形で100戦近く戦っているが、勝率は半々と言った所だ。

 勝てる時は簡単に勝てるのだが、最初のセリフからわかる通り元からパーティを組んで戦っているような、パーティ間の連携に一日の長があるチームが相手だと急造チームの『カグラ』ではやはり厳しい戦いになってしまう。


 まだまだ予選期間も序盤という事もあり、メイの秘策や俺自身が前衛組に加わる事はまだしていないが、それも視野に入れた方がいいかもしれないというのがトーカのぼんやりとした考えだ。


 とはいえチームとしてこの形でハマりだしているのもまた事実。『群狼』相手にレベリングも兼ねて様々なパターンを試してはいる事も大きい。

 また、この一週間ほとんど行動を共にしていることでお互い慣れてきたというのもあるのだろう。

 初日にあった遠慮が良い意味で無くなってきており、チームの空気という物が完成し始めているように感じる。


「まぁ元々はみんな個人、多くても2人か3人でやってたから仕方ないと言えなくもないんだけどな」

「リベットの言う通りではあるんだが……どうにもまだチームプレイとしては微妙な感じがするんだよな」


 なんというか、チームと言うよりは個人やタッグがいくつも重なっているイメージと言うのか、後衛組は前衛組のサポートはするし前衛組も相手を後ろに行かせないように立ち回ってはいるのだが、やはりどこかチグハグな感じが残ってしまうのだ。


 共通の敵を前にして一時的に共闘しているがあくまで別チーム……といったような戦い方になってしまっている。

 事実、俺から見た限りカレットとリーシャ、そしてメイは後衛組としてリクルスとリベットは前衛組として動いていて、前衛組同士や後衛組同士では上手く連携が取れているが、前衛組と後衛組となるとぎこちなさが出てしまっている。


 前衛組として前線に出る訳でもなく、後衛組として遠距離から敵を倒していく訳でもない、特殊なポジションにいる俺だからこそ俯瞰的に見れてはいるが、いざ俺がどちらかに本格的に入ったとして前衛組と後衛組の連携をスムーズに出来るかと言われたら自信が無い。


 これがこのチームとして動きやすい形だと言うのはこの1週間で身に染みて分かっているので、目下の課題は前衛組と後衛組の連携をよりスムーズにする事だろう。


 そういった旨の事を5人に告げると、やはり皆どこかでそういう実感はあったのだろう。5人とも心当たりがあるように「あー」などと言っていた。


「とりあえずしばらく……最長でも1週間だけど、それくらいは『群狼』とかロッ君とかでチームとしての動きを磨こう。今回の予選ではそう試合数はそこまで重視されている訳じゃないからこの一週間で追いつけない程の差が出来るとも考えにくい」

「おっ、いいねぇ!ついでにレベル上げも出来ていい事づくめじゃん!」

「腕鳴るな!この一週間対人戦メインだったからそろそろPvEもやりたくなってきたところだ!」

「だったらロックゴーレムの方を優先してもらってもいいかな?例のアレの為にもストックは増やしておきたいし」

「ロッ君かぁ、アイツ矢が全然通らないから苦手なのよねぇ。まぁ苦手を放置して後で足を掬われちゃ叶わないから願ったりよ」

「だな、『群狼』とじゃ多対多は出来てもチーム全体の動きを合わせるのは難しい所があるしな」

「じゃぁ当面の行動はモンスター相手に動きの確認、ついでに素材集めって事でいいか?」

「「「「「おー!」」」」」


 という訳で、しばらくの間は対人戦はお休みしてパーティとしての動きを確認する事になった。

 その精度の程は、この1週間で100近い数のロッ君や『群狼』が犠牲になったという事から推して知るべしである。


 ◇◇◇◇◇◇


 時は流れて予選最終日。

 最終週の予選の白熱ぶりと言ったら凄まじかったが、少なくともチーム『カグラ』の面々にとっては今この瞬間こそが最も重要な一戦だと言えるだろう。


「時間的にもこれが最後の予選だ!引き締めて行くぞ!」

「「「「「オーッ!」」」」」


 そう、今この瞬間に始まった試合こそ、チーム『カグラ』にとってこの予選最後の試合となるのだから。

 チーム『カグラ』は、1週間の特別合宿(ボスマラソン)の成果もあって勝率を八割前後まで盛り返していた。さらに言うなら、この一週間は予選でも負け無しだ。

 本戦に出れるとしても出れないとしても、この1戦の勝敗が後々にメンタル的な意味で大きく影響するのは間違いないだろう。


「開幕からド派手にぶっぱなすぞぉ!

【拡散型白龍砲:双頭(ふたつがしら)】ッ!」


 レベリングも兼ねた特別合宿で各々のレベルも上がったが、カレットにしてみれば自身のレベルが上がったことよりも『多重詠唱』のスキルレベルが上がった事の方が大きいだろう。

 ただでさえ凶悪だった【白龍砲】がより凶悪に、より強力に進化していた。


 そんな【白龍砲】を事前に『魔法合成』で登録し、それを『多重詠唱』で二重に展開する。1発でもエンシェントトレントのHPバーを1本まるまる消し飛ばした【白龍砲】が2発まとめて襲いかかってくるのだ。その威力は考えるまでもないだろう。


今回の【白龍砲】は拡散型なので、エンシェントトレントに放った時と比べて威力こそバラけるものの、相手チーム全体を覆うように展開された純白の閃光と化した炎と風の龍が辺り一体を飲み込んで行く。


 相手方もまさか開幕からそんな大技を喰らうとは思っていなかったらしく、まだろくに陣形も取れぬままタンクと思しき盾持ちの騎士と遊撃と思しき軽戦士の2人をまとめて飲み込み、光へと変えた。


 この多重展開の【白龍砲】は成長したカレットのMPを根こそぎ持っていく程のMP消費量だが、その威力からすればそれでも消費MPは少ないくらいだろう。

 そもそもメイがサポートに付いているカレットにMPと言う概念はあってないような物なのだが。


「なっ!?」


 発せられた驚きの声は一瞬で仲間ふたりを消し飛ばされた相手のものだったのか、それとも自慢の一撃を受けてなお相手が生き残ったカレットのものだったかは分からないが、消し飛んだタンクの後方にいたチームメンバーは各々HPの損耗こそあれどカレットの【白龍砲】を喰らってなお生き残っていた。


 タンクとしての意地なのだろうか、自身は一瞬で消し飛ばされつつも、運悪く真横にいた軽戦士以外の4人をタンクの彼は守り抜いたようだ。


「んぐっんぐっんぐっ、ぷはぁ!ほぉ、これを耐えるか……面白い!改めて消し飛ばしてくれよう!【五重風炎槍】ッ!」


 自慢の一撃を防がれたとは言ってもそれでめげるようなカレットでは無い。むしろやる気が湧いたようで、より楽しそうに風でブーストされた致死の炎の槍を5つ相手に向けて打ち出した。


「クソッ!あの魔道士やべぇ!壁頼む!」

「だーもう!相手が『カグラ』って時点で予想はしてたけどよぉ!二重【ウォーターウォール】ッ!」


 相手の魔道士が全力で愚痴りながら二重の水の壁を展開する。

 いくらカレットの火魔法が異常な威力になっているとはいえ相性はいかんともしがたく、壁の1枚こそ破った物の5本の槍は2枚目の壁に阻まれて相手には届く事は叶わなかった。


「しゃおらっ!防いでやっ……ぶぺっ!?」

「油断大敵……ってな。相手はカレット1人じゃないんだぜ?【破豪】ッ!かーらーのー!【乱牙】ッ!」


 しかし、こちらの戦力はカレット1人では無い。

 目に見えて迫る危機を回避した事で、一瞬気が緩んだ相手の魔道士の顔面をいつからいたのか魔道士の真横に陣取っていたリクルスが殴りつける。

 当然ただ殴り飛ばすだけで終わる訳もなく、惚れ惚れするほどスムーズな動きで繰り出される【乱牙】による連撃が【破豪】を喰らって仰け反った魔道士を襲う。


 仲間が開幕から2人消し飛ばされ、半ばパニックになっている相手にこっそりと内側に潜り込んだリクルスに気付く余裕は残されていたなかった。

 初っ端から放たれた【白龍砲】を目隠しに『縮地』と『隠密』を駆使して相手陣営の内側に切り込んでいたのだ。


「はぁッ!?コイツいつの間に……!」


 突如として現れたリクルスに、相手のリーダーと思しき重戦士が驚愕の声を上げ、それでも流石と言うべきか助けに入ろうとした所で……


「喚くのもいいけどよ、もっと周り見たほうがいいぜ!【嵐舞:風切(カザキリ)】!」


 甲高い風切り音を纏った槍の嵐に巻き込まれた。


 首や頭部、関節部など、重戦士ご自慢の堅牢な鎧の隙間を的確に突いた激しい連撃に相手はまともに防御体勢を整える事も反撃に移ることも出来ずにただ的になるしか出来なかった。

 相手の得物が大剣だったというのも理由の一つだろう。武器のサイズの関係上どうしても大振りの攻撃が主体となってしまう大剣では、懐に入られてしまってはその大きさが仇となってしまうからだ。


 ならばと武器での迎撃を諦めて小回りの聞く拳などで槍を弾こうとすれば、憎たらしいほどの正確さでリーシャの放つ矢によってその動きを妨害される。

 リーシャ自身もカレットと共に相手の狩人と剣持ちの騎士を遠距離から一方的に攻撃しているというのに、それでも合間を縫って的確に妨害を入れてくれている。

 相手からしたらたまったもんじゃないだろうが、それはつまり味方からしたら最高の補助になっているにほかならない。


 メイはカレットのMPやリーシャの矢を補充する事に専念し、俺は俺で後衛組の近くで味方にかけるバフや相手にかけるデバフに専念する事が出来ているのは、初手で相手を2人削れた事が大きい。

 これで相手がパニックになって動きもガタガタになってくれたおかげで、この予選期間を振り返ってもなかなかないくらい有利に事が進んでいる。


 そしてーー


 《WINNER『カグラ』!》


 土壇場からの大逆転なども起こることなく、そのまま順当にチーム『カグラ』は予選期間最後の試合を圧勝で飾ったのだった。


 そして、その翌日。

 運営から『本戦』出場が決定したという旨のメッセージがチーム『カグラ』全員の元に届いた。



掲示板回を挟んでその次から本戦開始ですかね


今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!


おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします


ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!


今後も当作品をよろしくお願いします!

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