鍛冶屋といえば?
俺達は元滝を後にして、大きな町を目指しながら街道を歩いてゆく。
街道を進むと、定期的に盗賊が襲撃してくる。
それに対して応戦するも、手加減に失敗して敵を全滅させてしまうといったやり取りを繰り返していた。
「やっぱり手加減は必要だよな」
「向かってくる者は全て滅ぼしてしまえば良いと思うのだけれど?」
メリネアが恐ろしい事を言ってくる。
「四六時中襲われるのは気分がよくないですよ。なんとかして手加減を覚えて黒幕を吐かせないと」
「それが人間の作法なのね」
もうメンドイからそう言う事にしておこう。
この辺りドラゴンと人間の差だよなぁ。
しかしヤツはどうやって俺を襲わせているのだろうか?
ありそうなのヤツの命令で俺達を追っているヤツがいてそいつが行く先々で刺客に賊の振りをさせているとか?
それか情報屋みたいなのがいるのだろうか?
「町が見えてきたわ」
メリネアが指を指しながら彼方を指し示す。
街道の先には小さな町があった。
◆
「大きな町なら街道沿いに村と町を三つ越えればギリギスの王都ドロンドがあるよ」
門番に道を聞いた俺達は一言礼を言って町の中へと入った。
「まずは食料の調達かな」
「この町にはどんな食べ物があるのかしら?」
「1つ2つ町を越えたくらいじゃ珍しい変わった食べ物は出てきませんよ」
「そうなの? 残念だわ」
まぁ、静岡ではパーキングエリア毎に違うご当地ドリンクがあったような気がする。うな丼コーラとかわさびサイダーとか正気を疑うラインナップだったが。
知り合いが両方とも飲んでいたが、意外に飲めると言っていた事に皆驚いていたなぁ。
罠を警戒して誰も飲まなかったが。
「あれは……」
食料と日用品を調達していた俺は、剣のマークの看板が飾られた店を見つける。
間違いなく武器屋だろう。
「ちょっと覗いてみるかな」
「すみません、ちょっとそこの店を覗いてくるので、屋台の見張りをお願いできますか?」
「いいわよ。所でそこの露天のお肉買ってきても良い?」
見れば牛串の露天が通りに並んでいる。どうやら小腹が空いたらしい。
「いいですよ」
「おじさーん、この食べ物全部頂けるかしら?」
「全部!?」
露天の店主が仰天する声が聞こえてくるが、俺はあえて振り返らずに店へと入った。
きっと彼は人生で初の大繁盛をする事だろう。
◆
「すみません」
薄暗い店の中には幾つもの武器が置かれていた。
剣、槍、斧、盾、鎧と町の規模の割には随分と品揃えが良かった。
「客か? 随分と珍しいな」
店の奥から声が聞こえてくる。
珍しいのかよ。普段どうやって生活してんだ。
「普段は包丁や農具の研ぎをやって暮らしてるよ」
口に出してもいないのに答えが帰ってきた。
「ふは、どいつもコイツもおんなじ質問しやがるからな。聞かれる前に答える癖が出ちまった」
どうやら声の主は店の店主らしい
「で、何が欲しいんだ? 商品は其処においてある分だけだ。特注は受けてねぇ」
「ええとですね、人を殺さない武器が欲しいんです」
「はぁ?」
間の抜けた声が聞こえる。
「何だそりゃ。武器ってのは相手を殺すモンだろうが。何で殺さない武器なんてワケわからんものを欲しがるんだ?」
そりゃもっともだよな。
「実は、俺が殴るとどれだけ手加減しても絶対殺してしまうんです。でも殺したらまずい相手とかも居ますから。殺さない様に手加減できる武器が欲しいんですよ」
店主の声が消える。
怒らせたかな?
「ふは、ふはははは、ハハハハハハハ八!!!」
おお、笑いの三段活用。
「殺しちまうから殺さない様に手加減する為の武器だぁ!? そんな馬鹿な注文してくる馬鹿は初めてだぜ!!」
怒ってはいないのかな?
「面白い、ちょっと試させてもらおうか」
店の奥から誰かがやって来る。
「試すというのは?」
「本当に相手を殺しちまうのかを、俺と手合わせしてだ」
店主が姿を現す。
その姿は、子供のように背の低い壮年の男性だった。
「ドワーフ?」




