星降る夜に1
11月1日タイトル変えました。
内容は一緒です。
大晦日いえば、年越しそば。
あたし達は、公民館から少し歩いた所にあるお寺に連れて行かれた。
このお寺では、大晦日の夜に除夜の鐘をつく。
108回。煩悩と同じ数。
その時、このお寺ではお蕎麦をふるまうらしい。
地元で採れたそば粉を使って。
あたし達は粉まみれになりながら、そば打ちの手伝いをさせられた。
お手伝いできていたかは疑問だけど、初めての経験で楽しかった。
リョウもいればよかったのに…。
*************
「格闘技。」
「歌合戦!」
年越しのカウントダウンを前に、公民館はバトル寸前!
「ペコはぁ~、格闘技が見たいの!」
「ぼ、僕のうちは毎年必ず歌合戦なんです…。これを見ないと、1年が終わらないじゃないですか…。」
ゆずれない戦い…。公民館には、テレビが1台しかない。
そのチャンネル権をかけて…。
「歌合戦なんか、携帯で見ればいいじゃん。どうせ音楽なんだし。」
「か、格闘技なんか大晦日に見るもんじゃないですよ…。歌合戦は長い歴史があるけど、格闘技なんてここ数年のものじゃないですか。」
ペコと山崎君がバトル。
あたしは、どっちでもいいんだけど…。
「ていうか、クリスマスからずっと歌番組やってたじゃん。どうせ、同じ歌をうたうんだから。」
「格闘技だって、しょっちゅうやってるじゃないですか!あんな外国人ばっかり…。何で大晦日に殴られる人を見なきゃいけないんですか!」
お互い…ゆずらない。
あぁ、誰かとめてくれないかなぁ…。
「ねぇ。誰か仲裁しようよ。」
あたしは、残りのメンバーの顔を見回した。
う~ん。適役が、いない。
頼りだったウララはそば打ちの後、迎えにきた彼氏と消えてしまったし…。
「じゃあ。多数決は?」
そう切り出すと、眉間に皺をよせたペコににらまれた。
「ぼ、僕は多数決で決めていいです。日本人は昔から、大晦日は歌合戦に決まっているんですから。」
山崎君はペコとのバトルで、さっきから変な汗をかいている。
「じゃ、じゃあ。歌合戦が見たい人~。」
「はーい!」
山崎君が勢い良く手を上げた。
「私も…。」
イッキも手をあげた。これで2票。
「次、格闘技が見たい人~。」
「はーい!はーい!絶対見たーい!」
ペコが手をあげ、1票。
残りの2人は…。
「マナはどっちでもいい。後で、お寺行って鐘をついたりしたいもん。」
「僕は、どちらでも。年末年始のテレビはどれもおもしろくないので。」
と、いう事は…。
「じゃあ、歌合戦に決定…していいかなぁ?」
ペコのほうを見ると、昼間のめんたい子ちゃんを抱えてる。
「この子も手をあげてるんだけど…。ダメ?」
ペコがかわいく上目遣い。いやいや、ダメだよ。それぬいぐるみじゃない、ただのクッション。
「ダーメ。」
「い、いいんちょうの…。オニー!!」
ごめんね。あたし意外とジャッジは公平なんです。
「もう、いい。わかった。ペコ、リョウ君の家に行って見てやる!男は絶対、格闘技なんだから!」
ペコは山崎君の方を向いて、舌を出した。
「ベーだ。もういい。行こう、委員長。」
「え?どこに?」
「リョウの家!」
「ええ!!こんな時間に?」
人様のお宅にお邪魔して良い時間じゃ…ないですよ?
「大丈夫だって!大晦日だよ。誰も寝ないって!柴田君だっているよ。それに…。」
「それに?」
「仲直り。したいでしょ?」
ペコが不敵な笑いを浮かべている。
「カウントダウンは、好きな人としたいでしょ?」
そっとあたしに近づき耳打ちをした、内緒の話。
「べ、べつに。あたし。そんな事ない…もん。リョウの事なんか何にも思って…。」
「あーれー?リョウ君なんて言ってないよ、ペコ。柴田君だって一緒にいるんだけど?」
何それ?ハメられた?てか、本当に好きとか思ってないしー!
「いいじゃん。行こうよ。好きじゃないなら行けるでしょ?」
「…わかった。けど、ちゃんと連絡してからにしよう?人の家なんだし。」
絶対、はめられた。そう言われたら、行きたくないなんて言えないじゃん。
「OK!ペコがメールしとくから。早く行こう?始まっちゃうよ!」
「いってらっしゃーい。」
のんきな歌合戦チームが、手を振る。
あぁ。あたし、格闘技に手をあげればよかったなぁ。
リョウのお宅訪問。
考えるだけで…ドキドキが止まらない。
ドキドキが止まらない?
あたし。ちょっとだけ、リョウの事…。
…意識してる?
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