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ゆ~みっくすちゃれんじ!  作者: M11
Heat-1 début!!
11/25

10

 なんか、人目を憚らず泣いちゃった。今は不思議とすっきりしてるけど、思い出すと恥ずかしくなってくる。

 しかし、なんで泣いちゃったんだろう?

 やっぱり勝ちを逃して悔しかったのかなぁ?

 自分の不甲斐なさに嫌気がさしたのかなぁ?

「ねぇ、何でだと思う?母さん」

「え?何の話?」

 あ、無意識に聞いちゃった、あはは……。

「ううん、何でもない」

「それで、今日はどうだった?」

 母さんが、レースの感想を聞いてきた。

「何か、天国と地獄を同時に味わった感じ?よくわかんないけど……」

「また良く分からない表現ねぇ……」

 自分でも良く分かってない。色んなことが一度に起こった日だから……

「自信なくした?」

「そんなことない!負けた原因は分かってる。いい勉強になった」

 そう、原因はスタート直後。

 変更したセッティングに予想以上に戸惑った結果、ハイペースで前を追わなければならなくなり、バッテリーが最後まで持たなかった。メカニカルな部分に、メンタルな部分が上乗せされた……って感じかな?

「じゃあ、やっぱり……」

「うん、決めた。父さんの後を追ってみる」

 ガタターン!

 な、何?何の音?

「ゆ、友美ちゃん……まさか、まさか!」

 後ろを振り返ると、店長が顔面蒼白で立ちすくんでいた。手に持っていたであろう缶ジュース類が、地面にぶちまけられている。さっきの音はそれかぁ……。

「友美ちゃん、は、早まっちゃいかん!」

「はぁ?何の話です?」

「だ、だって、怜治の後を追うって聞こえたけど……」

「うん、私の心は決まったよ」

「そ、そんなぁ……まだ君は若いんだし、将来のある身だし……」

 な、何か話が噛み合ってないような……。

「その将来の道が見えたって言ってるんです。このレースの前までは、まだちょっとあやふやだったけど、父さんが目指した、追いかけていた“世界”を私も追いかけてみたい、と……」

「………………え?」

 何故に店長、目がテンなの?

「あ、あは、そ、そういうことかぁ。僕はてっきり……」

「てっきり……何です?」

「こ、こんな事、言って……いいのか……なぁ?」

 なぁ~んか、歯切れが悪いなぁ。

「てっきり……後追い……自殺を……決めたのかと……」

 はぁ?

「何でそんなことする必要があるんです?」

「そうだよねぇ……よかったぁ、勘違いかぁ」

 どこをどう解釈すればそうなるんですっ?

「『後を追う』という表現がいけなかったんじゃないかしら?」

 そうかぁ、そう取れなくも無い表現だよね、確かに……家の事情がアレなだけに。

「でも、それ以外の表現ってあるのかなぁ?」

「まぁ、断片的に聞こえたのを、勘違いした僕も悪かった。ごめん」

「本当よ、勲君。お詫びとして、マッチドバッテリーを進呈しなさい」

「……ええぇ~ッ!か、勘弁してください。妻に怒られる~ッ」

 まぁだ諦めてなかったんですね、この人は……。


後追い自殺etc……に関しては、後に投稿するおインターバルで少し触れます。

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