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10人の没個性VS1人のショタ

 黒銘菓 作品にレビューや感想やブクマを下さい!

 「面白くないから駄目!」というのであれば改善点を是非!教えて下さい。



「あぁ、あなたがもしかしてこの騒動の犯人の方でしょうか?」


山の前に男が居た。いや、男と言っても五歳くらいの子どもが居た。何故それを…、いや、それより。


普通ではないことを考えた。しかし、その普通ではない考えに異様な自信が持てた。




この山を作ったのは目の前の子どもだ。




でなければ、何故、子どもがこんな時間にこんなところに居るのか?何故狼に襲われずに居るのか?説明が出来ない。


「ボク、何のことを言っているのかな?」


「先ず僕のような子どもがこんな所に居て『何のことを言っているのか?』なんて言っているのがもう、最初の僕の問いへの答えでしょう。」


子どものくせに可愛げのない笑いを浮かべると、火球が飛んできた。


「なら仕方ない。やれ。」


その言葉を合図に後ろの馬車から水の塊が飛んできて、火球が相殺された。







 矢張り居ますか、ボディーガード。多分王はくたばっていないでしょうから、何人かに足止めを喰らってこちらに来れない。といったところでしょう。


仕方ありませんね。子どもに大人を足止めさせるなんて、あの魔王は…。






そう言いながら子供は糸魔法の準備を始めていた。


黒いフードの塊に囲まれながら、その顔には好戦的な笑いと、信頼に応えようというやる気に満ち溢れていた。


「さぁ、始めますか。」


闇の中、糸が煌めいた。













「ガス欠だ。」


少し魔力を使い過ぎた。お陰で省エネモードの魔法体術が使えず、王の速歩も然程使えない。そんな鈍足状態で肉瓢箪(商人)を追いかけているから全然追いつかない。


先のバトルで少しハッスルし過ぎた。もうまともな魔法は2・3回使えるくらいしかない。


バトラーの事だ。群れの全滅位までならもう終わっているだろう。ただ、


「あいつら…何か気になるんだよな。」


三人組の他に見えた十人くらいの没個性黒フード集団。全身黒ずくめで不気味。というだけでなく、何かしらの寒気を感じた。つまりは何だかイヤな予感する。という訳だ。まぁ、アイツの事だから時間稼ぎ位はやってくれているだろうし、ヤバくなった時の引き際は心得ている。心配はしていない。















「こんな幼気(いたいけ)な子ども相手に恥ずかしさとかを感じて下さらないんですね。」


真夜中、子どもが一人、黒いフードの集団に襲われている。子どもは必死に抵抗し、さっきから肩で息をしている。そんな中する発言にしてはいささか余裕が過ぎるが。


対するフードは無言のまま、肩で息どころか呼吸音すら聞こえそうにないほど静かに子どもを囲んでいる。




この字面だけ見たら圧倒的にフード軍団、商人の方が優勢である。実際、優勢に変わりは無いのだが…


「何をしている?さっさと止めを刺せ!


アバタルはイラついてフードたちを怒鳴る。しかし、誰一人としてこちらに顔を向けも、返事もしない。全く気味が悪い。コイツら、さっきから火球や水球をチマチマ撃ってはいるが、途中で軌道を変えて当てなかったり、途中で失速したりでまともに当たっていない。何を遊んでいるのか…。


狼をあれだけの数仕留めるような奴だ。強いのだろう。が、大の大人が10人も居ながら子ども1人黙らせられないなんて、まったく大赤字もいいところだ。







アバタルはこの光景を見てそう考えていた。しかし、事実は違う。







バトラーは優秀な男である。


転移前、つまり体が縮んで子どもになる前は、非常に優秀で欠点が無く、魔王の存在意義を地で脅かしていた男だった。


政治、経済、災害、道路の整備、新しい魔道具開発、治安維持…何でも出来て、当然、力がモノを言う魔界で生き残っていたので、無論、戦闘力も高かった。


故に、彼は優秀故に今の弱体化した時分では彼らに勝つことは難しいと分かっていた。


故に彼は自分に向けられた火球、水球を当てさせずに、時間稼ぎに徹していた。


方法は、自分に向けられた魔法は、同じ属性の魔法で出来た極細の糸で軌道を反らしたり、同じ魔法の糸をぶつけ、相殺は出来ずとも減速させて回避したり。


流石に10人がかりで相手されると厳しいのか、途中、距離を取ろうとしてフードの合間を走るが、結局また囲まれ、魔法を撃たれ、回避し逃走。


これを無限に繰り返していた。






流石にもうそろそろ魔力の限界が近いか…。






彼がそう思い始めたころ、彼の待ち人は来た。


「済まないな、バトラー。今来た。そして、皆様、御機嫌麗しゅう。」




これまた肩で息をして駆けて来た。

 続きは……気が向いたら書きます。

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