第四百四十三話
バカ二人が暴れているのはこの際おいておくことにして、沖野宮高校の敷地の話だ。
第一世代の公的な魔法学校ということで、元々は『学校周辺』だった部分が『敷地』に変わっている。
多くの施設が建設されることになったのでその影響だ。
秀星がいる空間生成装置。
機密な文書まで保管されている図書館。
巨大倉庫が地下に存在する巨大魔法購買店。
収容数が意味不明なアリーナ。
などなど、いろいろあるわけだが、それらの距離はいずれも離れている。
今回、沖野宮高校に襲撃を企てている組織が狙っているのは、生成装置と図書館だ。
しかし、陽動作戦というものは重要である。
いずれにせよ襲撃があれば迎撃態勢に入るだろうが、『まずどこが狙われたのか』という部分を明確に放送するのが普通なので、最初にどこを狙っておくのかを決める必要がある。
アリーナでも別に問題はない。
アリーナでは、様々な魔法関係の競技、試合中における事故をなくすため、安全装置が膨大についている。
その安全装置は使い方を変えれば防御アイテムになるのはもちろん、何かに組み込んだ場合には制御装置として使える。
安全装置のコンセプトが『他の行動のデメリットを可能な限り少なくする』というものなので、組み込めば安全だろう。
だが、購買店のほうが『誰にでもわかりやすく』て『疑われない』のである。
そもそも犯罪だが、陽動として購買店をブッパしようというのは間違っていないのだ。
……もちろん、アリーナにつけられているような安全装置は購買店にも存在する。
核兵器がこようとビクともしない設定であるそれらに対してミサイルをブッパしたところで、購買店は揺れることすらないのだ。ここまで来ると科学的要素が一切感じられないが、魔法要素しか使ってないのだから当然である。
……で、なぜこのような説明をするのかというと。
『緊急警報!購買店のバリアに、大型ミサイルが着弾しました!人的被害。及び物的被害はゼロ!念の為、一般生徒の皆さんシェルターの中に避難を……』
『この学校って今、一般の生徒っていたかしら』
『マニュアル通りに読んでるだけなんですから黙っててください!あ、なお、空間生成装置にて行われているバトルロイヤルは続行します!』
放送部からそのような声が聞こえる。
正直、余裕すぎである。




