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第四百四十話

 魔法社会が表に出てきたことによる最大のデメリットが何か、となれば、それは『魔法と言う概念を所持していなかった犯罪組織にも魔法が行き渡る』ということだ。

 特に、下っ端がでかい顔をしているようなヤクザだとか、カルト宗教の関係者は、攻撃的な魔法があればさらに戦力が増強されるだろう。さらに言えば、催眠や幻惑など、一流の詐欺師が使えば、使っていることすらばれずに荒稼ぎ出来る可能性もある。


 詐欺云々はメディアを通じて注意を促すようにするしかない。

 が、魔法と言う『暴力』は、まだみぬ秘密結社にとってはとても大きなものだ。


 そして、魔法社会が表に出たことによるデメリットの第二段。

 『元からいた犯罪組織の限度がなくなる』というものである。

 今まで、魔法社会は『裏』扱いだった。

 言いかえれば、大規模なそれらをやろうとすると、様々なルートを使う必要がある。

 そのルートに、隠蔽工作を行うものがいたら大体は捕まってしまうわけだ。

 しかし、これからはその機材を堂々と運べる。

 明らかに『武器』なのだが、今はダンジョンに挑んでその素材を確保するのがブームのため、問題はないのだ。


「おい、準備は整ったか?」

「ああ。問題ねえ」


 黒のフードに仮面、そしてボイスチェンジャー。

 可能な限り、個人情報を漏らしたくないと考えているであろう二人の男性が話している。


「今、あの学校では特殊な空間を作って、その中でバトってるらしいぜ」

「その特殊な空間ってのが意味わかんねえけど、所詮は魔法具だ、奪っちまえばいい」

「俺達の狙いの一つはそれ。で、もうひとつは図書館だ。あそこには、魔法に関する最先端に近いものがあるらしい」

「だが、警備がガバガバなんだろ?」

「ああ、それ相応に監視カメラくらいはあるが、基本的に警備員はいないくらいだ。俺たちにとっては絶好のカモだぜ」


 男たちは笑う。


「しっかし、魔法ってのは便利だな。あんなお手頃に、暴力を使えるだなんてよ」

「だな。魔法を否定しているジジイやババアの家を襲撃するとき、楽になったもんだぜ。アイツらネットもろくに見ねえからな」

「しかも、魔法に関する記事の少ない新聞ばっか取ってる。俺達からすりゃそいつらもカモだぜ」


 魔法は『万能』ではないが、『便利』ではある。

 しかし、『元々それらは存在しないもの。いずれは消えてなくなる』という思考に一度陥ってしまえば、人間はそれを答えと思いこむ。

 だからこそ、『魔法から身を守る術』というものが公開されていたとしても、彼らは被害に会うのだ。

 新聞やニュースといった、お年寄りでも活用するメディアを使って注意を促したとしても、頑固者に意味はない。


「そういや、あの学校で、朝森秀星ってやつがいるみてえだな」

「ああ、なんか。世界一って聞いたことがあるけど」

「世界一ねぇ……だが、圧倒的な物量と、人を殺すことを何とも思わない倫理観。これらがあるこっちに対して、まだ十七のガキであることに変わりはねえ。どうせ、適当に人質に取れば身動きとれなくなるはずだ」

「ハハハ!まっ、スポンサーからは一応、朝森秀星が生成された空間にいる間に襲撃しろって命令だから、こっちもそうするしかないんだけどよ」

「話を戻すか。あの空間生成装置と、図書館の本。それも、特別な部屋にあるものを丸ごとごっそり奪うぞ」

「ああ、どんなヤバいことがかかれてるのか知らねえけど、全部奪ってやるぜ。あんなザル警備で、俺達をどうにかできると思ってんのかよ」

「クックック。俺達のスポンサーのためにも、しっかりしねえとな」


 魔法に対するイメージアップは、魔法が表に出てきて三か月以上たつ今も済んでいるとは言えない。

 彼らに認識はなくとも、襲撃により、『魔法は簡単に人を襲えるものだ』として非難し始めるものはいるだろう。

 彼らの『スポンサー』は、元からそれを狙っている。

 重要なものがあるはずなのに、警備が薄い。

 確かに、彼らに取っては『都合がいい』かもしれない。

 だが、『何故警備が薄いのか』までは、頭が回らない。

 ……彼らは、沖野宮高校と言う学校が、彼らのような犯罪組織ホイホイであることに気が付かないのだ。


 それに、例え襲撃をしてイメージがダウンしようと、もうすでに、電力を始めとするライフラインは魔法に変わろうとしている。

 誰が否定しようと、圧倒的なコストパフォーマンスにはかなわない。

 科学がおいついていないのではない。

 魔法の方が、元からそれを得意としていた。と言うだけの話だ。


 イメージダウンが進んだ結果、魔法を否定するものは確実に増える。

 だが、最高会議をはじめとする魔法社会を運営するもの達は、問題ないと考えている。


 世界は常に、人が嫌悪するもので動いていると知っているからだ。

祝。百万字を突破!

一年以上続けて来たこの小説も、やっと百万字を超えました。

塵も積もれば山となる。継続は力。とはよくいったものです。

これからも頑張ります。


ひとつひとつが塵すぎますが……ちなみに、百万を四百四十で割ると、

2272.72727272……

まあ要するに2000ちょいになります。


この数字に『絶望』を感じた方は、ブックマークをお願いします。(評価がほしい。とまでは口が裂けても言えない)

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