表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

384/1408

第三百八十四話

「……まあ、後でどうにかなるレベルに収まってるな」


 秀星は、そうつぶやいた。

 神獣の親との戦闘中ともなれば、口を開ける余裕はほとんどない。

 秀星でも集中する必要があるからだ。

 しかしそれでも、この神獣と戦いながら、『世界』を確認していた。


「ただ、既に神獣に事情が知られたってことだろうな。まあ、それに乗っかって嫌がらせするかどうかはアンタ次第なんだが……どう思う?」


 先ほどから攻撃が来ていない。

 が、秀星はそうつぶやいた。

 すると、秀星の後方で光が収束する。


 そこにいたのは、一人の白い美女だ。

 あるいは、天使とも言えるかもしれない。

 装着している面積の少ない金属鎧から溢れている魔力光が、まるで二対六枚の翼に見えるのだ。

 腰まで流れる髪も、銀髪と言うよりは白い。

 もちろん、光沢に満ちたそれを、加齢の結果だというものはいないだろう。

 落ち着いたと言うより、全てを知ったようなその瞳も白い。


 面積の少ない金属鎧、と言ったものの、ひざ上まであるニーハイや、腕のすべてを覆っているデタッチド・スリーブなど、腕や足はほとんど見えていない。

 だが、フリル付きのビキニアーマーと呼ばれてもおかしくない装備だ。

 胸は大きく、腰はくびれ、形の良い尻をしている。

 しかし、欲情よりも崇拝が前に出てくるであろうその神々しさがあるので、油断はしない。


「……確かに、すでに分かっている。あなた達が、魔法と言うものを、表の社会に隠していることと、そして、それを隠しきろうとして戦っていることを」

「だろうな。召喚獣を解き放った瞬間に、言語をすべて理解して把握したってところか……今だに、神獣が考える脳のないモンスターだと考えている連中に教えてやりたいね」

「私との戦闘に付いてこれるあなたも、かなり異常」

「神獣の親に言ってもらえるとうれしいね。因みにどれくらい生きてる?俺は桁数が六百万くらいだと思ってるんだが」

「概ね間違っていない」


 いずれにせよ途方もない年月だ。

 普通に考えて、時間として成立するのかどうかもわからない。


「単純に年月で比べるとすれば、私から見ると、この宇宙すらも胎児未満の存在にすぎない。でも、そんな中でその力を手に入れたあなたに、興味がある」

「一体どうするつもりで?」

「私がこの宇宙にやって来た目的は、世界樹を食し、糧とすること。何故世界樹を必要とするのか、それは、あなたにも理解できないスケールの話だから気にする必要はない」

「だろうな。世界樹が目的だってことは予測していて、なおかつ神獣についての知識があってもさっぱりわからんかった」


 秀星はお手上げだった。

 その『世界樹が目的』というものも、『おそらく神獣に取っても世界樹は特別なものに含まれる』ということを、キーワード形式で推測していたにすぎない。

 だが、わざわざ狙うかとなると話は別なのだ。


「そして世界樹を食した後……あなたを犯す」

「……要するにヤるってこと?」

「具体的にはあなたの子供を産む」


 ずいぶんとまあアレな話である。


「なんていうか……すごくアレな話だな」

「私の年齢すらほぼ正解するあなたに興味がある。ただ、いやそうな顔をする理由が不明。私は今、あなたの脳から放たれている魔力を読み取って、好きな外見を具現化し、姿を形成しているはず」

「うわー……コイツ嫌い」

「そう言えば、あなたには神器のメイドがいたはず。確か最高端末もこれと似たようなルックスとスタイルだった」

「あの、もうそろそろその話題から離れてくれませんかね?」


 誰も聞いていないはずなのに公開処刑されている気分だ。


「……あなた、童貞ではないようですが、まだまだ素人ですね」

「やかましいわ!」


 なんでこんな話をしなくちゃならんのだ!とばかりに叫ぶ秀星。


(やはりすべての強者はギャグ要因なのか!シリアスのままではいられないのか!こんな状況なんだ。勘弁してくれ!)


 内心絶叫。

 すると、神獣の親はコホンと咳払いする。


「朝森秀星、まだ本気を出していないとはいえ、私の肩慣らしにつきあったのは、『最高神』と『利口な神々』を除けばあなたが初めて。それに敬意を表して、ここから戦う」

「!」


 一瞬にも満たないレベルの速さで、秀星は集中状態に移行する。


「いい、私の言葉を聞いて、その状態に入れる時間の消費も合格点。私の名はオリディア」


 手を振ると、そこに淡く光る西洋風のロングソードが出現。


「参る」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ