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第三百八十三話

 秀星が神獣の親を相手にして、召喚獣はドリーミィ・フロントや剣の精鋭をはじめとした、神器やプライオリウムを扱えるもの達が戦うという状態が続いている。

 本来なら参加メンバーの数が足りないのだが、ルールを作って召喚獣の数に制限を設けたので、問題が少なくなっている。


 順調かどうかと聞かれれば、秀星がそれに応えるほどの余裕があるわけではない。

 言いかえれば『最悪かどうかはともかく、取り返しの付かない事態にはなっていない』と言うのが適切だ。


 なお、それは神獣を相手にした場合のみの話である。

 他の部分には大きく影響が出ていた。


 ……隠しきれないのである。


 制限されているとはいえ、そこは神獣の親。

 召喚獣を世界中に出してきたのである。

 プライオリウムを扱える装備をそれなりに用意している……というか、そもそも秀星がエインズワース王国にいた時、既にFTRは『人工神器』をある程度完成させていたのでそれをもとにしただけなのだが、とにかく対抗することは可能。


 ただし、世界中に現れるそれを、全くばれずに処理できるかどうかとなれば話は別。

 そもそも、隠蔽が普通にかけられたうえで出現し、そしていきなり出現して高出力の攻撃を行う奇襲など普通にやってくるような連中だ。

 しかも、彼らは魔戦士だけを狙うことなどしない。

 一般人であろうと襲ってくる。

 そう考えれば、どうなるのかは火を見るより明らかだ。


 さらに言えば、もともと『魔法社会は表に出るべきだ』と考えている富裕層がいる。

 人が増えることでさらに魔法社会が活性化し、それによってさらなる金が自分たちのところに集まってくると考えているのだ。

 特にアジアにいる者たちはそう考えているものも多い。なんせ、アジアには世界の人口の六割が住んでいるからである。

 ちなみに、あくまでも魔法社会の経済で言えば、その規模はやはり一位はアメリカだ。

 広めようとして、しかし、失敗するという結果だった。

 しかし、世界中で神獣の召喚獣のために対抗するとなれば、武官も文官も、『時代が読める優秀な者』がすべて出はらっている状態。

 そう言った状態ならば、魔法社会のことを広めるのはたやすいことだ。


 もちろん、そうしたいとは思わないところは多い。

 現在、『戦闘力』と『商業分野の売り上げ』に加えて、プライオリウム装備の開発によって『高品質&大量生産能力』という、三つの分野での序列一位を、朝森秀星という『日本人』が独占している。

 これを好ましいと考えるものは当然少なく、表社会にまで浸食してしまえば、確実に日本が世界のトップに君臨するだろう。

 エネルギー問題はすべて解決し、今までコスト的な問題で使っていない、または廃棄された場所を使えば食糧問題もすべて解決させることが可能であり、実質、『日本は全ての分野において自給率が百パーセントを超える』国となり、表の社会の外交でもものすごく強くなる。


 何をどう考えても面白く無いと思うものは多いだろう。


 まあそのあたりのごちゃごちゃした部分はいいとしても、基本的に隠されているのが基本だ。

 しかし、それが崩れ始める。


 一体どうなるのかさっぱりわからない。

 神獣を倒すのは一つのゴールだ。


 しかし、その先に何が待ち構えているのか。

 この時、誰もそれを予測できなかった。


 今出来るのは、召喚される神獣を倒し続け、秀星が一刻も早く、親を討伐するのを祈ること。

 ただ、それだけである。

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