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第三百八十話

 あくまでも肩慣らしの最中である。

 だが、神獣の親ともなれば、並列で様々なことをするのは普通のことであり、秀星に対して攻撃を仕掛けながらも、召喚獣などを出すことは容易だ。


 一応、秀星が作った『ルール』は、神獣の親が出した召喚獣にも適用される。

 ただし、これに関しては『本来は』としか言えないだろう。

 一方的に押し付けたルールではあるが、それでも『ルール』である以上、押し付けた分の融通の利く部分が神獣の親にはある。


 本来なら影響されていることすらわからないような隠蔽がかけられているし、プライオリウムを使ってつくった『ルール』ゆえに、何かと強制力も強い。

 とはいえ、これくらいすさまじいものを体験するのは、神獣の親にとって初めてではないのだ。


 結果的に、召喚獣を出して、それを解き放つことは容易である。

 だからこそ、数に制限を設けている。

 それも『ルール』の一つだ。


 押し付けるルールである以上、自分に取って都合の良いものばかりに決まっている。

 では、自分に取って都合がいいというのはどういうことなのかと言うと、自分たちに取ってもっとも守っておいた方がいい部分を守れる状態である。

 敵の戦力が分からない以上、『最悪の事態』の想定は不可能。

 なので、『ルール』を作って押し付けることで、『ここまでされたらさすがにどうにもならない』と言える状況にならないための策をいくつも張っているのだ。


 しかしそれでも、限度と言うものは存在する。

 基本として格上なのだ。

 秀星に取って、神獣の親と言う存在は、基本的には格上の存在である。


 そのため、召喚獣がばらまかれることはどうしても回避できない。


 そのために人数を揃えたかったのだ。

 セフィアたちもある程度耐えてくれるだろうが、最終的に、一時的に使用不可にする必要があるので長くはない。


 そんな状況だ。

 神獣の親などと言うものを相手にしていて良い状況など何一つない。

 サシでやっている秀星もそうだが、サシでやることを強制しているにもかかわらず、それをすり抜けてくるのだ。


 要するに、まだ遊びの範疇なのである。

 お互いに、という言葉が付けばいいが、秀星は『全力』ではないし『本気』でもないのだが、『かなり真面目にやっている』のである。

 そこに差が出てきている。

 あまり時間をかけたくはない。

 戦い自体はすごく地味であり、人間レベルの話しかできない指揮官クラスの人間には理解不能なことをやっているので、なんだかすごく簡単なことをしているように見えるのだ。

 秀星としても客観的にそう思われることは分かっており、なんだかイライラするので、できる限り早く決着を付けたいものである。


 それはそれとして、数は限られるが、召喚獣が出て来ることは確実。

 そっちはもう、秀星としては信じるしかない。

 神獣の親が相手の場合、秀星としても、護ることはできないのだから。

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