第三百六十六話
とりあえず、戦力は確保した。
一人の人間の言うことを絶対に聞く神器使いが何人もいる。
そんな状況なので、不安要素は一つ消えた。
「問題なのは……召喚魔法に関してだよな……」
「そうですね。しかも、遠距離で、私たちが気が付かないレベルで使うことも可能だと推測できます。というより、秀星様が可能だということを考慮すれば、神獣の親となれば、それ相応に使って来るでしょう」
秀星はすぐにセフィアを呼べるように、一人で来たとしても実質的に一人ではない。
それと同じで、神獣だって召喚魔法を使えば数を確保することだってできる。
神獣一体だけならともかく、召喚魔法で数を増やされると厄介だ。
おそらく、神獣の子供くらいの戦闘力を持つ召喚獣を呼び出すことは普通にやってくるだろう。
なので、一度エンカウントすると絶対に倒す必要がある。隠れてコソコソ召喚魔法を使われまくったら悪夢なので。
「……考えてみれば考えてみるほど面倒だよなぁ……遠距離召喚された召喚獣とか」
「召喚獣を禁止する結界を使うしかないでしょう。あとは、この世界に対して座標を認識することが出来る要素を消すことでしょうか」
「異次元に放り込むってことか?」
「そういうことです。いずれにせよ。防御力と耐久力を考えれば、短期決戦はほぼ不可能です」
「だよなぁ……」
即死系。みたいな攻撃方法はいろいろあるのだが、全て通用しないだろう。
単に死を与えるだけの魔法を使ったとしても、膨大なプロテクトがかかっている神獣の肉体に通用するとは思えないし、そもそも、単純に死んでも普通に生き返るので意味が無い。
超攻撃力で削りきることもほぼ不可能だ。
いずれにせよチャージ時間が必要な攻撃は、全て発見される。
「……もうちょっとパワーバランスってもんを考えてほしいよな。RPGだったら強すぎて無理ゲーなんだけど」
「神獣はこの地球が生まれるよりもはるか昔から存在しますから、そう言ったバランスとは関係がないのでは?」
「わかってるよそれくらい」
秀星はげんなりする。
何をどう考えてもめんどくさいのだ。こんな相手、やはり『神』と名の付く敵はロクなものではない。
(とりあえず今からすべきなのは……神獣の発見を逃さないことか)
隠蔽魔法など通常で使っているに等しい場合だってある。
目の前にいてもわからない時だってある。
だからこそ、そういった準備は最優先だ。
面倒なことこの上ない。




