第三百二十話
ハルヴェインは期待している。
恨みを買った自分たちの子孫に植え付けられた。愚かな呪い。
それを解くことが出来るとすれば、進化し続けるものではなく、真理に近づいてきたもの達だと。
だからこそ、彼は自分たちの主人ではなく、秀星に期待した。
最も、彼の主人もわかっているかもしれない。
種族と言う概念そのものに影響を与える何かをしているのだから、それ相応に痕跡が残っていて当然だろう。
ただそれでも、彼の主人は言われるまでやらないのだろう。
方法はあるかもしれない。
だが、秀星がどのように気が付くのか。
一目見ただけで?
何かしら不信感を感じて?
いろいろルートはある。
だが、秀星ほどのイレギュラーを抱える人間も多くはない。
だからこそ、秀星がする過程と結果を見たいと言う人間はそれなりにいるのだ。
遠くからただ見ているだけでは分からないそれ。
壁の奥に隠れていくもの達に気が付くためには、近くまで行ってみなければ当然わからない。
さらに、来夏の『悪魔の瞳』まで今回はついている。
世界が抱えた負債を、秀星は神器一つで解決してしまった。
本気を出しているようには見えない。だからこそ評価したい。
さて、もう直に彼は、黒の世界樹を通って、白の世界樹を見て、そして緑の世界樹までたどり着くだろう。
その時、どんな結果が待ち受けているのだろうか。
実は、この結果を待っているものは、意外と多かったりする。




