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第二百五十三話

 学校生活と言うものは、基本的に必要なものを全て揃えようとした場合、購買に行ってもいいが、そこでも取り扱っていない場合がある。

 それに、ダンジョンにも潜るためそれなりに金を持っている生徒が集まる魔法学校のそばに商店街ができない理由はない。

 ただ、実績と言うよりはネームバリュー的に強いところが学校から近いという実情を考えると、なかなか社会と言うものを考えさせられるものだ。

 そんな商店街を、秀星は羽計と雫を連れて歩いていた。


「商店街にもいろいろあるんだな」

「魔法関連の商品に関してはアース・スクールで作られたものだがな」

「へぇ、なんかすごいの?」

「ああ。何代か前の生徒会長が相当暴れ回ったとか……私も詳しいことは知らないが、魔法社会に流れる商品となると、アース・スクールが一番らしい」

「じゃあ、生産系の学校ってことだね!」

「いや、使う装備が極端に周りと差が付いたからな。才能しか見ないゆえに優秀な人間が集まるジュピター・スクールの下だが、第二位となっている」


 使うものが強くなれば、当然ながら本人の成果も上がる。

 使いこなせていなくとも、道具の差と言うものは出て来るものだ。


「ショッピングモールがあるわけじゃないみたいだな」

「あったとしても少し大きい田舎のスーパーって感じだね」

「他の客をとってしまう場合があるからな。一般住宅エリアがあって、そこの近くにはあるが、こちら側にはない」

「探検するかどうかも本人次第か」

「そういうことだ」


 世知辛いというより、余裕のないものに対して辛辣なのが魔法社会と言うものだ。


「といっても、裏路地とかも多いわけか」

「学生の中でも、そういったところに入っている人はいるみたいだね」

「あえてそれができるように設計されている部分は多いな。警備員にもそういう場所にはいかないような暗黙の了解ができているほどだ」

「何のための警備なんだ?」

「知らん」


 即答してバッサリ切る羽計。

 秀星としても同じ気分だった。


「ま、そういう裏がないとやって行けないってことなんだろうな」

「ああ。私たちみたいな理不尽な魔戦士が多いわけではない」

「本当に理不尽なのは秀星君だけどね」

「やかましい」


 自覚はするが指摘するな。と秀星は言いたい。


「さてと、目的の店はあれだったか?」


 少々大きめのスーパーだ。

 羽計が頷く。


「うむ。新しい本が出るからな」

「羽計ちゃんって結構勤勉だね」

「感覚派の雫とは違うだけだと俺は思うが……」


 羽計の戦闘手段は、多数の付与魔法を併用することで、身体能力を上げることだ。

 簡単に言えば、魔法をそのまま魔法として使うのではなく、自分の身体能力の延長線上として使うのである。

 当然だが新しい付与魔法が出て来るのならそれを予習しない理由はない。


「フフフ……こうみえてセンスだけはあるからね!」

「「……」」


 秀星と羽計は疲れてきた。


「まあ、本屋に寄るか」


 そういって入ろうとした瞬間。

 店の中央が大爆発したようだった。


「……よし、面倒だけど行こうか」

「そうだね」

「ああ。行くとしよう」


 三人の表情には『なんでこうなった?』と書かれていた。

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