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第二百二十五話

 人工島。

 文字通り、人の手で作ってしまった島のことだ。

 予算的にすごくかかるので、本当に国営になるのが通常である。

 まあ置いておこう。

 その魔戦学校と言うものは、人工島の上に存在するのだ。ぶっちゃけ魔法があれば山の中を切り抜くことは可能であり、魔法関係となれば一般人に出す資料を改竄してもいいと言うわけのわからん暗黙の了解が実はあるので山を平らにすればいいのだ。

 要するにロマンを求めた結果である。


 別に秀星はロマンが嫌いと言うわけではない。でなければ悪乗り同盟などという頭のおかしい集団の中に入ったりしない。

 要するにただの客観的視点である。


「ここが魔戦学校がある人工島か」

「『メイガスフロント』と呼ばれているようだ。『ウィズダム・プラント』が製造に大きくかかわっているようだが」

「ああ。神器の工場か。確かにあれはかかわってるだろうな」


 むしろ、そういったところでかかわっているからこそ、名が売れているのだろう。


「ええと、学園エリアと商業エリアと住宅エリアと研究エリアに分かれているみたいだね」


 雫がパンフレットを見ながら呟いた。

 空港から出る時に出入り口に『自由に取ってください』という感じでおいてたのでとったものである。


「今いる明らかに空港な場所はどこに分類されているんだ?」

「学園エリアだね」

「ああ。だから校舎がめっちゃ近いのか。ていうかでかいな」


 大学のキャンパスのように大きいものが乱立している。


「生徒数ってどれくらいいるんだ?」

「羽計ちゃんが言ってたけど、一クラス三十人で、それが二十クラスあって、初等部から高等部まであって、そんな学校が八つあるみたいだね」

「……五万七千六百人か」

「計算速いね……」

「それって、全員を収容できるスタジアムはあるのですか?」


 エイミーが聞いて来る。


「……いや、横浜にあったスタジアムが確か七万人以上は大丈夫だし、もっと金がかかってるここならもっと大丈夫なものがあっても不思議じゃないと思うゾ」

「日本にそんなすごいスタジアムがあるんだね」

「意外と技術的に頑張っている部分が多いのが日本と言う国だ。で、学校が八つあるっていったな。羽計がいたのは?」

「私がいたのは『ジュピター・スクール』だ」

「学校八つだよな」

「ああ」


 羽計も秀星が追及したいことが分かったようだが、別にそこまで秀星も気になっているわけではない。


「まあ、そういうことならその学校に行こうか」

「そうだな」

「しかし……ジュピター・スクールねぇ……なら、運営母体の名前は太陽だな」

「裏組織とかに冥王星がありそうだね」


 秀星と風香は勝手に納得している。

 とはいえ、剣の精鋭レベルになって来ると話がいろいろ変わるのだ。


「で、羽計。さっきから周りの視線の中にこそこそと侮蔑の視線が混じってるけど、これは一体どういうことだ?」

「もともとよそ者には厳しい学校だ。私は中学から編入したが、小学校から入っているものがほとんどだからな」

「なるほど」


 現在はまだ時間があるので、学校に行くまでに集合することになっている。

 よって、ほとんどのものが自由行動中なのだ。

 秀星たちもいろいろと学校外で見て回っている感じである。


「それにしても、敵の戦力の把握もできないとはなぁ……」

「で、どうする?」

「放っておけばいいだろ。それに、いずれ分からせる」

「どのような感じだ?」


 羽計は気になったようだ。


「ん?ああ……アイツらってさ。魔力が多いからとかそんな感じででかい顔してるんだろ?なら、分かりやすく差を教えてやるさ」


 秀星はべつに舐められたところで気にすることはない。

 だが、それは種類による。

 身の程知らずはイラつくのだ。

 それはもちろん、昔の自分を思いだすからである。


「それにしても、やっぱり絡んでくるのかね?アイツら」

「そうだと思うよ。まあ、私も正面から相手になるけどね」


 楽しそうな笑みを浮かべる雫。


「そう言えばかわいい子って多いのかな」

「……フィクションだと学園はモブもそれなりに良かったりするが」

「会長、普段からどんな目線でサブカルチャーにかかわってるのですか?」

「いや、みんなもそう思うだろ」


 一応同意しないで置くことにした秀星。

 周りもそれを選んだようだ。


「まあ、要するに多いってことだね!」

「雫、言っておくが、アレシアはジュピター・スクールに在籍してるぞ」

「Oh my God!」


 唸り声を上げる雫。

 夏休みはそれなりにはっちゃけていて、まだアレシア警戒区域から外れていたというのに、今度は自分から飛び込むことになったのだからある意味当然である。


「……ん?在籍ってことは普段からここにいるんだよな。剣の精鋭として活動するときはいつも本州に飛行機で来てたのか?」

「いや、学校の中でもかなりの実力者だと、本州に戻るための超高速の移動手段があって、有料だが利用できる。優奈と美咲もジュピター・スクール在籍だから、みんなで一緒に移動しているな」

「ああ。それを使って帰ってきてたわけか」

「そうだ」


 納得した秀星。

 まあ秀星の場合は転移魔法があるのだが、それは置いておくとしよう。


「さて、そろそろ時間になるし、校舎前に行くとしますか」


 ちなみに、集合するのはジュピター・スクールである。

 ……狙ってるよな。と秀星は思った。

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