第二百話
今回、秀星たち魔獣島対策チームは船を拠点として活動する。
ベースキャンプを新たに作らない理由はいろいろあるが、秀星としては別に困らないので置いておくことにした。、
その報告だが、分けられているチームのリーダーたちが集まって情報を提出する。
なお、あの図鑑アプリが入ったスマホは、そういった報告データを作るためのフォーマットも用意されていた。
ちなみに、時間に遅れた班があった。
最初、デイビットはかなりそわそわしていて、見ているこっちがちょっと不安になったくらいだ。
秀星も探知魔法を使って確認してみたが、単純に強いモンスターとの戦闘が長引いただけのようである。
巨大モンスターをそれはそれなりに討伐しており、それらの素材を運搬するのも苦労していたようだ。
別に何か怪我があったわけではないので秀星としては安心である。
そしてその班が帰ってきてからだが……。
デイビットは見えた瞬間にそのチームのところまで全力疾走すると、視線も気にせず全身全霊で怪我がないかとかいろいろ言っていた。
一体何があったのか、何故遅れたのか、と言った内容の言葉だったのだが、怒りではなく心配というものだったので、はっきり言って秀星としてはドン引きだった。
ついでに言うと魔獣島でどんなことをしているのかが気になって付いてきたらしいアーロンもドン引きしていた。
その目には『こいつってこんな奴だったのか……』という色がすごくあった。知らなかったとか冗談は勘弁してほしいものである。
まあ、別に下手に体を触っていたわけではない(班員はすべて女性だった)のだが、あれはあれですごく面倒な上司だ。
うるさいとリアンが言っていたが、本来の意味とは別だったようである。
正直に言うと、あんな上司は嫌だというのが秀星の本音だ。
他の班も十分前にはしっかり帰ってきていたので、おそらく、あの女性班の班員だけは新人だったのだろう。
そんな珍事があったわけだが、それ以降はすんなり進んだ。
帰ってからは人為的な痕跡があったという報告がちらほらあった。
すでに消えかかっていたが、確かに存在する。というものだ。
オマケに比較的最近のものもあると分かれば話は変わって来る。
しかも、比較的最近である上に広範囲だった。
確実に、この魔獣島で何かをたくらんでいるものがいる。という、誰がどう考えてもその結論にたどり着くしかないことを帰ってくるのが遅れた新入りの女性班のリーダーが言っていたが、それ以外のリーダーたちからすれば『そうだな』としか言えない。
気温が下がったのではないかと思うほどしらけたが、そこはデイビットは『声に出すことでそれ以外の余計な可能性を考えるのを防ぐためのいい発言だ』という、フォローになっているのかなっていないのかよくわからないセリフで、逆に気温が下がる原因がデイビットになった。
詳しい説明は朝礼時にデータとともに送るということで、次からは拠点を発見するために動くということになった。
それはいい。
発見出来た時点で報告し、勝手に進まないこと。
少なくともはっきり言って化け物である秀星が来るまでは突撃不可となった。
秀星を含めた全員がこれには同意。
秀星は夜にリアンと二人ババ抜きをして全勝したのであった。




