第千三百九十九話
星王剣プレシャスによる剣術。
戦略級魔導兵器マシニクルによる銃撃。
オールマジック・タブレットによる魔法。
それらは万能細胞アルテマセンスにより最大効率化され、宝水エリクサーブラッドによってコンディションが最大値で更新され続ける。
これだけで言えば、神器のコアが持つルール上、下位神であるゼツヤが作った神器は、質は高い物のスペックが足りない。
だが、長年の研究によって至った『真理』の影響によって、スペックそのものが拡張されている。
……そして、レルクスはそれを、全て一本の剣でさばいて、隙があれば反撃している。
神器ですらない剣で今の秀星に反撃するとなれば、ミーシェなど、相当な次元に達している者しかできない。
とはいえ、それができてしまうのがレルクスと言う存在なのだろう。
「はぁ、全然当たらん」
「当たらない未来を選んでいるからな」
「そうかい……」
特に表情を変えないレルクス。
それは言い換えれば、『秀星からの攻撃を避けることそのものは、今のレルクスでも十分』ということなのだろう。
「……はぁ、勝てるビジョンがまだ見えんな」
「君が僕に勝てる未来は……あるのかないのか、まだ語らないでおくとして、このまま計測を続けるなら、どうしようもないぞ」
「だよなぁ。父さんと来夏も見てるし……これから観客が多くなる可能性もあるし……そのあたりに間に合えばいいんだが……」
「そこには間に合う」
「あ、そうなの?」
何故それにこたえるのか。
疑問ではあるが、まあ、別にレルクスとはいえ、答えても大して変わらないことに関しては答えるということなのだろう。
そもそもの話だが。
彼にとって一番大事なものが何なのか、ソレがあかされていない以上、何を答えたとしても、一々反応するようなものではない。
そんな考えが頭によぎったのか、秀星は溜息をついた。
「はぁ、面倒だな」
面倒にもいろいろあるが、どういう意味で使ったのかは秀星にしかわからないこと。
ただ……そろそろ、『終盤』と言いたそうな、そんな顔つきになっているのは事実だ。




