第千三百九十八話
「秀星のやつ。思ったよりやる気みたいだな」
「だな。あんなに派手な攻撃。ほとんどレルクスに当たんねえだろうけど、ちょっと測りきれてねえな」
ビルの屋上。
高志と来夏は、酒瓶を開けながらのんびり話していた。
いや、二人の位置からは秀星もレルクスも見えないのだが、来夏はスキルでわかるし、高志も感知能力は高いので、おおよそはわかる。
つまみを結構大量に持ってきているようで、今は焼き鳥を作っている。
焼かれている鶏の質はとても高いもので、いい匂いが漂う中、ブツブツ話していた。
「しっかし、どいつもこいつも好戦的じゃねえってのに、きっちり秀星VSレルクスはやるんだから、わかんねえもんだな」
「ああ、秀星が初期エリアでまったりしてる間はアトムがスコアを稼いでたけど、レルクスが止めに来る様子はなかった。優勝賞品も、思ったほど大したものじゃなさそうだ」
一発逆転を狙えるようなシステムの存在は未だにない。
このままなら、イベントの優勝はアトムになるだろう。
レルクスも秀星も大して動いていなかったので、スコアは全然ない状態だ。
「やっぱり、格付けのために戦ってんのかね?」
「かもな。まあ、それもあんまり興味ねえけど」
そう、誰も今回のイベントに熱意はないのだ。
「ちょっと気になることがあるとすれば……ぜツヤはレルクスから、このイベントのオチはひどいって言われてたらしいぜ」
「それ、オレたちがなにかすると思ってんのかね……」
「それは知らねえけどな。まあ、いずれわかることだ」
ひどいオチ。
とは言うものの、別に今の所、高志も来夏も、必要以上にふざけるつもりはないようだ。
結論はレルクスが知っているが……呆れた様子が見受けられるので、よほどヤバい様子である。




