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神器を十個持って異世界から帰ってきたけど、現代もファンタジーだったので片手間に無双することにした。【連載版】  作者: レルクス
本編最終章 神器を十個持って異世界から帰ってきたけど、現代もファンタジーだったので片手間に無双することにした。編
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第千三百九十二話

 秀星が動いた。


 その情報は、少なくとも、特別エリアにいた全員は気が付いた。


 未だに自分の初期エリアでわちゃわちゃしている椿に関してはまだ気が付いていないが、それ以外の全員は気が付いていると思っていいだろう。


 そして、特別エリアで起こっているアトムVSレルクスという構図を考えると、秀星が動く理由もまたわかりやすい。


 『アトムとレルクスの争いに巻き込まれたらたまらんわ』と考えているものが多く、現在はゼツヤくらいしか観客がいない状態だが、秀星もそこに行く理由は十分にある。


 ……というわけで、特別エリアでは、アトムVSレルクスの戦いが行われている地域から、さらに人が少なくなった。


 アトム、レルクス、ゼツヤ、秀星。


 一体何をしでかすのか全然わからない連中ばかりが揃っているということになる。

 そりゃ距離だってとりたくなるというものだ。誰だってそうする。


 ……何を考えているのかわからないミーシェだけは除外するが、今のところ、アトムたちのことを気にしている様子はない。


 また、ラターグもそれに対して動きはない。まあ、どこかで寝ている可能性も十分ある。放置でいいだろう。詳しいことは知らん。


「……俺が動いたってだけで、やたら動く奴が多いなぁ」

「魔法省公認の『世界一位の男』ですからね。気にせざるを得ないでしょう」

「それは確かに」


 セフィアの言い分を軽く聞き流しつつ、秀星は特別エリアを歩く。


 黒く、頑丈な素材で作られた建物が並ぶ地域だが、秀星はなんの重苦しさも感じていない様子で、普段通りの足取りだ。


「まあ、ごちゃごちゃ考えても仕方ないか。しかし……ここからでも見えるけど、凄い『災害』だな」

「ええ、『地球って、やろうと思えばここまで酷いことが起こるんだなぁ』ということを深く教えてくれます」


 アトムの神器は、『地球上で起こることを再現する』という性能だ。


 言い換えれば、発生する可能性が0の概念を持ってくることはできない。


 まあ正直に言うと、地球を舐めてた。


「……惑星魔法とかもあるんだ。地球だって舐めたらだめだよな。うん」


 まだまだ、雑談だ。


 レルクスたちのエリアに向かって近づくだけで、周囲の緊張感は高まっていくが……まだ、秀星は『観客』である。


 秀星が本気で戦おうと思えば、こんなものでは済まない。

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