表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神器を十個持って異世界から帰ってきたけど、現代もファンタジーだったので片手間に無双することにした。【連載版】  作者: レルクス
本編最終章 神器を十個持って異世界から帰ってきたけど、現代もファンタジーだったので片手間に無双することにした。編
1364/1408

第千三百六十四話

 本来、海は青い。しかし、栞が出した海は白く染まった。


 本来、炎は赤い。しかし、栞が出した炎は蒼く染まった。


 『掌灯永洪(しょうとうえいこう)』の強化形態、『掌灯永洪てのひらともしびとこしえおおみず』は、質の強化が行われている。


 魔戦士の戦いは、使う魔力技術に『安定性』が求められるため、単なる威力に大した意味はないからこそ、質があげることにした結果、作られた形態なのだろう。


 そして、今も海に浮かんでいる大灯台大軍艦は、完全に鉄の色をしていたが、それすらも真っ白に染まり、灯台は蒼い炎を灯している。


 まるで、白と蒼で作られた『聖域』とも呼べる場所になった。


「……椿。やっぱり、私のこれを相手にするときは、その剣を抜いたわね」


 栞の視線の先で、椿は一本の剣を構えている。


 『偽打(にせう)ち・堕落大権化(だらくだいごんげ)


 ラターグが使う神器、『神剣・堕落大権化』の偽物ということなのだろう。


「同じ神器は同じ世界に存在できない。だからこそ、ラターグが作った神器も一本だけ……だけど、あなたはラターグが『仕込んだ』時に、その剣を新しく、創造神ゼツヤから作ってもらった」

「……にゅ~」

「はぁ、力が抜けるわね」


 栞は椿の腰を見る。


 そこには、椿の刀、『弔丸・椿色』が納められているが、椿がそれを気にする様子はない。


 邪魔と思うこともないが、使う様子もないといった感じだ。


「……確か、起きているときしか使えない……いや、起きているときは、その刀が使えない。が正解かしら」


 『弔丸・椿色』は、いつ、どんな時でも感謝を忘れずに振るうことで、斬った相手の魂を天国に送ることができる刀。


 普段の椿の精神性は、この刀を使うことに適しているし、この刀を振るうからこそ、椿は戦える。


 罪悪感というものは人間は擦り切れていくものだが、何者であっても染めることができない椿の心は、何かを倒すという行為に対して罪悪感が減らない。


 そのため、斬った後、相手が救われるための性能を持っている。


 しかし……むにゃむにゃ言っている今は、その精神性が発揮されない。


「さて、はじめましょう」


 栞は白い炎を纏う剣を手に、突撃した。


 椿も寝ぼけまなこで剣を構える。


「む~……『堕落神風刃・絶技・八王脱落』」

「!」


 八つの門が上に出現し、扉がすぐに砕け散る。


 そして吹き荒れた風が椿の剣に集められて、巨大な風の剣になった。


「にゅ」


 高速で振り下ろされたそれを剣ではじいて、栞は突撃する。


 そのまま、椿の剣と栞の剣が衝突した。


「昔は鍔迫り合いに持ち込むことすらできなかったけど、この技まで使ってる今は、負けない」

「……む~」


 まだまだむにゃむにゃ言っている椿。


 その意思は……どんどん、眠りの底に深くなっている。


「ふああ……『堕落神風刃・絶技・八王脱落丸』」


 今度は、剣を覆いつくすような形で膨大な風が集まる。


 次の瞬間、栞を吹き飛ばそうとするほどの圧力が剣から放たれたが、栞は耐える。


「……よし、戦えるわね。ここからが本番よ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ