第千三百六十三話
様々な重機が詰め込まれた軍艦。
そこから一斉射撃を受けたとしても、このイベントの参加者くらいであれば耐えられるものは多いだろう。
……なんだかその時点でいろいろおかしい気がしなくもないが。
ただ、栞が出した軍艦となれば、それだけで本来の軍艦とは質が異なる。
弾丸の一発一発が魔戦士環境で見ても致命傷クラスで、砲弾はコンクリートで作られた城くらいなら簡単に破壊できる。
それほどの威力がある兵器をなんの躊躇もなく使えるというだけで、栞の育てられ方が異常であることはわかるだろう。
そして、むにゃむにゃ言っている椿は、それらの砲撃を全て手刀や蹴りで対応していた。
普通だったら『うにゃああああっ! これはやばいですうううっ!』となっているのが目に見えるようだが、淡々と対応している。
文字通り、どちらも圧倒的。
椿も攻め込めるわけではないようで、なかなか砲撃をかいくぐれない。
風を使ってバリアなども使っているが、効果は微妙に足りていないか。
まあ、痺れを切らすには十分とも言える。
「なりふり構っていられないわ。本来なら父さんに使う予定だったけど、いくわよ」
栞は剣を掲げる。
「掌灯永洪」
純粋な質の強化。
しかし……紛れもない全力。
「ふああ……来てください。『偽打ち・堕落大権現』」
しかし容赦がないのは、寝ている椿も同じらしい。




