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第百三十四話

 こちらもロボットで対抗してニアー・バンクラプシィのロボットをボコボコにした。

 まあ、その細かい内容だとか、いろいろ言いたい部分はあるだろう。


 だが、あのCEに関していえばまだまだオプションでいろいろと付けることができるし、レシピブックだけではなくマシニクルの力を借りることでまだまだ上を目指すことは可能だ。

 それを実際にやったことで、ニアー・バンクラプシィの心をボッキリと折ってしまった。

 様々な組織が、バック・マーチャンツを介してこうしたロボットを買い占めようとしていた部分があるが、もっともロボットの扱いに慣れており、専門的な訓練をしてきたものがいるニアー・バンクラプシィが諦めたことで、需要が激減。

 現在は金額が半額以下になっている。


 さすがにここまですると、ロボットでどうにかしようだとか、未来型魔装具を鍛えればどうにかなるとかそう言うレベルの話ではなくなってきた。

 無論、大した技術レベルを持たない商品に関しては対して金額に変化はない。

 だが、高いものは、それを悪用した際にデメリットとしていろいろ言われるようになってきた。


 秀星を天敵とした結果なので、ある意味でこうなるのは必然である。


 ★


「なんていうか、ほとぼりが冷めたね」


 秀星、風香、羽計、雫、エイミーの五人は屋上で話していた。

 ちなみに、雫は必死になって教科書を見ている。

 期末テストの期間だからな。


「ああ。散々こちらもロボットで暴れ回ったからな。しかもなんだか異様に強い。ある意味、私たちが天敵になっているのだろう」


 羽計はそう評価するが、別に間違っているわけではないだろう。

 天敵がいる力と言うのは、不必要と言うわけではないが評価が若干薄くなるのだ。


「あのロボットの設計図を見せてもらいましたが……私としても、良い教科書になります。あれほどの設計図を秀星さんが持っているとは思っていなかったので、驚きました」

「まあ、うん。俺にもいろいろあるからな」


 神器というのは別に所持がばれても悪いものではないが、だからと言って確信させていいと言うものでもない。

 とはいえ、それを言う必要もなく、秀星は強い。

 誰にも心配させない。

 それを言わせるだけの強さが、秀星にはある。

 それだけだ。


「むむむむむ……よし、後は明日もう一回見れば大丈夫!……そう言えば、夏休みってみんな予定あるの?」

「私はいろいろと顔を見せなくちゃいけないから……」

「私もそうだな」

「名家の出身の方は大変なのですね……私は千春さんといろいろ回るつもりです」

「俺も今はないけどなぁ……」

「なら、またどこかに合宿に行くことになるかもね」


 可能性はある。

 無論、実際にはわからないのだが。


「いずれにせよ、有意義なものになればいいんだけどな……」


 秀星は、結局、そう言うものだと思っていた。


 ★


「ていうか、本当に夏休みに予定がないんだけど……」

「用事があっても大体一日ですべて終わりますからね」

「宿題だって発表されて、もう終わらせちまったし、はっきり言って暇になりそうだなぁ」


 自宅のリビングでぐったりする秀星。

 セフィアは反応しながらも茶菓子を用意している。


「思ったよりすることが無いんだよな……」

「何かを開催してもいいのでは?どのみち、剣の精鋭単位で誘って来る者は多いでしょう」

「嫌だよ。面倒だもん……」


 暇つぶしのためにわざわざストレスを買うのが嫌な秀星。

 こういうときは天秤が分かりやすく傾くのだ。


「学校の方も、新ダンジョンがあるし、レシピブックでいろいろなものを作って補助もやっておいたからすることが無くなったからなぁ……ん?」


 スマホが着信音を鳴らした。

 誰だろうと思ってみるとアレシアからだった。


「……俺ってまだ悪いことばれてないよな」

「秀星様。それは自首になりますよ?」


 知らないな。


「はい。もしもし」

『秀星さん。夏休みに予定は入っていますか?』

「いや、全く」

『では……少し、頼みがあります』

「ほう、何だ?」

『私と一緒に、エインズワース王国に行ってほしいのです』

「……」


 秀星が口を閉じたのは、アレシアから外国に行こうと言われたからではない。

 その国名だ。


「……なあ、アレシアって……」

『隠したいと思っていたわけではありませんが、言うべきでしょうね。その通り、私はエインズワース王国第一王女。アレシア・エインズワースですよ』

「……実家に何かあったのか?」

『そういうことです。来ていただけるとうれしいのですが……』

「……いや、構わない」

『それはよかったです。予定についてはまた後日説明しますので、夏休みの宿題を終わらせておいてくださいね』

「もう終わってる」

『さすがです。それではまた』


 通話終了。


「……エインズワース王国ねぇ……何かあったのか?」

「崩御です」

「うわ、一番めんどくさいやつだ……」


 秀星は苦い顔をした。

 どうやら、今度は国家事情に巻き込まれることになったらしい。

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