第百二十九話
バック・マーチャンツは裏の商人である。
違法商品に加えて、誘拐した奴隷などいろいろな商品を扱っている。
大型の商会が一つあると違うもので、バック・マーチャンツの販売網を利用している組織も多い。
そんなバック・マーチャンツも、秀星の出現により、人身売買からは手を引いた。
ただし、借金をしてそういった売買の商品になったものに関しては続けている。
これは、バック・マーチャンツという組織が、秀星は自業自得な場合は手を出してこないと推測しているからである。
それに、借金をしているのは事実だ。金利は法外だが。
秀星が狙うのは、なんの落ち度も無いのに、理不尽に捕らわれる人がいる場合の話だ。
実は秀星が狙っている以上に壊滅している数がすごいのだが、これはセフィアがそういった組織を潰して金を引っこ抜く……というかぶんどっているからだ。
セフィアも秀星の言いたいことは何も言わずともわかっている。
さらに言えば、昇平、晶、ローガンの三人も、そういった活動には精力的だ。
結果として、人身売買の数は減っている。
そのかわりに、戦車のようなものが出て来ているのはちょっと飛躍しすぎているというかなんでこうなったのかいまいちわからないのだが、製造元からは運用データの収集も依頼されている。
まあ、今回のレポートは『粗大ゴミになった』で終わりだ。
剣の精鋭のメンバー四人というのは弱いものではないが、慢心している奴らにボコボコにされたのだから何も言えない。
なお、その襲撃によって何も反省していないような気がする四人だが、実はこってり絞られている。
アレシアが怖いのだ。言えることはぶっちゃけそれだけである。
話を戻そう。
バック・マーチャンツのこれからの商品だが、あの戦車の製造している組織との連携である。
ヴィズダム・プラントがもたらす負の遺産と言っていいだろう。
どんな頑丈なものにするのか、どんな阻害を使えばいいのか。
秀星を相手にしても問題がないものを作り出すことができれば、それを技術化し、富を手に入れることが出来る。
もともと、誰にでも使いこなせる魔法とは違い、そういった兵器のようなものは訓練すれば誰にでも使えるので需要があるのだ。
ただ、秀星にいわせれば……。
『すべての物体には融点がある。どんな戦車であっても、レーザーには無力だ』
……これが現実である。
ただし、秀星は一人の人間なので、世界中にばらまけば対応は不可能になると考えている者たちも多い。
常に世界とは、真実を突きつけられるまでは理想で動き続けるものなのだ。




