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第千二百七十三話

 時雨は、この島のナンバーツーであり、ある意味で『栞の上位互換』といわれるほどの多種多様な『実力』を備えている。


「見てください!ユーフォ―が飛んでますよ!ユーフォー!」

「っしゃああああ!このあたりの商店街の商品、全部一食ずつ腹に納めた!げふっ」

「おおおおおおおすげえっ!このあたりの空間ってなんか割りやすいんだな。別の区域に行けるぜ!」

「うー!」


「……ツッコミ所が多すぎるから、段取りよくボケてくれないかしら」


 無理な話ですね。


 というわけで、実力という点では高い時雨だが、唯一、『理屈が通らない話』に対する捌き方は分からない。


 いや、まあ結論から言えば、別にこいつらが原因で世界がどうなるとかそういうことは一切ないので、基本無視でも全然かまわないのだが、それだとなんだか負けた気がするから付き合わざるを得ないのが初心者である。


 こういう部分に関しては栞はばっちりだ。

 栞も実力があるゆえに、生まれた時から傍にいる秀星やアトムの影響でバランス感覚が取れていないが、高志や来夏という存在を生まれた時から見ている分、『こいつらは放置でいいや』という根本的な解決に至っている。


 まあ要は関わった時間の差であり、いずれ時雨もわかるだろう。


「……ちょっと待って、ユーフォ―って何?」


 確かにそれは気にしておく必要がある。何が攻めてきているのかわかったものではない。


「え、あのあたりにステルス状態で浮いてませんか?」


 空中のある一点を指さす椿。


 時雨はその部分を見る。

 確かに、ちょっとぼやけているが、ユーフォ―……いやもっと厳密に言うと、地球から宇宙に進出する場合にとても無理そうなフォルムの物体がある。


 というわけで、時雨は指先に魔力で作った弾丸を用意して、それをユーフォ―に向けて発射!


 一撃で何かコアっぽいものをぶち抜いたのか、そのまま海の藻屑となった。


「一撃で墜落させたですうううっ!」

「話が進まないし、多分撃墜させても問題ないわ」


 まあ、確かに出オチ感は強いが、だからと言って墜落させるとは……。


「はぁ、本当に、もっと段取りよくボケてほしいわ……」


 君もボケに回ってきている気がしますけど……あ、なんでもないです。

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