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第千二百五十五話

「ねえ、秀星君」

「ん?」

「時雨さんのこと。どう思う?」


 坂神島を歩く秀星と風香。


 貰ったカードの権限が最低値であり、これではなにもできないため、時雨が新しいカードを発行して、かなり高い権限があるカードに変わっている。


 そのため、なんだか今までほぼ顔パスと言っても過言ではない状態だった椿がいなくとも普通に行動できる。


 別行動において特に問題がなくなったので、距離を取りたい二人は時雨から離れるように行動しているわけだが、ふと、風香が秀星に聞いた。


「……どう思う。か。まあ全体的に、ヤバい人だとは思ったけどな」

「どういう意味?」

「そうだな……時雨を見てどんな感想を抱いたのかってなると、多分、栞の上位互換ってところかな」

「あー……なるほど」


 類を見ないレベルの美貌とスタイル。

 隙のない立ち姿は相当の戦闘力を感じさせる。

 独自の情報収集部隊がいると思われるが、それを超えて様々な予測をこなす頭脳。


 これらに加えて、敷居を感じさせない優しい笑顔を常に浮かべている。


 着ている服が普段からめっちゃエロいという点が評価の分かれ方になるくらいだが、自分の体に対して、どのように見られているのかよく理解しているし、別に恥ずかしがっている様子もないので、全体的に評価は高めか。


「……正直、あのレベルの人間がいるとは思ってなかった。しかも、あれでナンバーツー……トップは一体どんな奴なんだって話にもなる」

「確かにね……あの時雨さんを制御してるとなれば、とんでもないことだよ」

「……」


 風香は制御してるとなれば、と言っているが、秀星としては別に、時雨を制御しているわけではないと思う。


 時雨は様々なことを理解しているし、広い視点で考えて、その上で余計なことはしないだろう。

 だが、その範囲内の中では好き勝手するタイプに見える。


 トップも、時雨には遊ばれてるだろうな。というのが、秀星の何となくの予想である。


「……んー。まあ、そうだな」


 ただ、本当に制御できているかもしれないので、頷くだけ頷いておくが。


「早めに戻らないとね。椿ちゃんに何があるかわからないし」

「それは確かに」


 時雨の魅力はとんでもなくたかい。


 ……まあでも、多分、抱き枕は刹那一択だろうから、呑まれるということもなさそうだけどね。

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