第千二百四十八話
「秀星。これから君には、とある島に行ってもらいたい」
魔法省の応接室。
アトムに呼ばれた秀星は、そこで資料を受け取りつつ、アトムからそういわれた。
アトムの様子を見る限りは確定であり、もうその判断が覆ることはなさそうである。
「……ふーむ。『坂神島』か。聞いたことないんだが?」
「知らないのか?君が『決戦の地』と考えている場所だ」
「え、地図では海だったぞ」
「実はそこに島がある。その島に行ってほしい」
「は、はぁ……まだ時期じゃないような?」
「戦いそのものの話ではない。単純に、この島を統治している人物に会った方が良いということだ」
「はぁ」
かなりいろいろはぐらかしているアトムの説明。
資料にも、その統治している人物の情報はない。
まあ要するに、行けば分かるということでもあるのか。そこのあたりは不明だが、アトムは秀星に面倒は押しつけはするが、無駄を押しつけることはないだろう。
アトムが何を考えているのか、坂神島には誰がいるのかは知らないが……まあきっと面倒なことが何かあるんだろうな。とは思う。
「俺が調べた結果では海だったのに、まさか島があるとは」
「あの島の隠蔽能力は高いからな。まあ、異常性もいろいろあるが、お前にとっても、マクロードにとっても、いろいろ思う所は出てくる島だ」
「なんかこう言うのを貰うと、椿が嗅ぎ付けて一緒に行きたがるんだけど」
「連れていく分には問題ないだろう。私が見る限り、あの子は坂神島に行ったことがあるような節がある」
「そうか」
未来で行ったことがあるということなのだろう。
「なら、なおさら連れて行った方が良さそうだな」
「その判断は任せるが、まあ、椿の手綱を握り損ねないようにしてくれ。私は最近、忙しくなってきたからな」
アトムって時期に関係なくずっと忙しいと思うんだけど。
「とりあえず、資料は渡したからな」
「ああ。まあ行ってみるよ。何を企んでんのかは知らないけど、まあ行けば分かるだろうし」
「後回しにするなよ」
珍しく念を押すように秀星に言うアトム。
それを見て、本当に面倒なことになるだろうな。という予想を崩すことができない秀星であった。




