第千二百四十四話
とあるダンジョンの奥地にて。
「ここはモンスターが湧きまくってますね。ぶっ倒してやるですううう!」
「っしゃおらああああ!」
「大剣の錆にしてやるぜええ!」
「うー!」
……ゲーセンに向かっているとセフィアには言ったようだが、結果的にはダンジョンに入ることになった様子である。
まあ、その程度の路線変更はこの人たちなら余裕なので、別にいいや。
「行ってこい沙耶!お前の出番だ!」
「うー!」
沙耶は来夏の背中に装備された大剣を鞘から引き抜くと、モンスターの群れに突っ込んだ。
ダンジョンの床から一メートル五十センチあたりに浮遊しつつ、大剣を真横に振り回しながらモンスターを切断していく。
「いいぞいいぞ!」
「すげえな沙耶!」
「めちゃくちゃ倒してるですううう!」
これには三人も大興奮。
……ていうか、沙耶ってどうやって浮遊してるんだ?
……ギャグ補正ってことでいいか。突っ込んでたら疲れるし。
「ていうか、すげえ動きしてんな」
「永遠に振り回してるぞ」
「あれって疲れないんですかね?」
いったん冷静になって観察する三人。
まあ、これで冷静というのは片腹痛いというより唖然だが、ともかく三人は沙耶を見ていた。
「あ、ていうか、沙耶が大剣使うんなら、オレどうしよう」
「予備の大剣とかないんですか?」
「ギャグ補正に対応してるのがあれしかないんだよ」
じゃあ普通に戦えや。
……いやちょっと待て、そもそもギャグ補正対応って、どうやったらそんなものができるんだ?
「なら仕方ないですね。私が普段からつけているお守りをその予備の大剣につけておきましょう!これで何とかなるはずです!」
どこの神社のお守りなのかしらんが、それでどうにかなるのなら苦労しないと思う。
「よし!やってみるぜ!」
椿からお守りを受け取って、大剣の鍔に括り付ける来夏。
そして、ブンブンと振り回す。
「うーん。良し、おそらくたぶんなんとかなるような気がするぜ!行くぞおらあああああ!」
断然という要素がどこにもないんだけど。
「なら大丈夫だな!いくぜええええええ!」
「む!私も行くですうううう!」
高志と椿も突撃を開始。
……そんな様子をビデオカメラで撮影しているセフィコットは、百パーセント綿のはずなのに、胃が痛くなってきたような気がするのであった。




