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第千二百六話

「ねえ、秀星君。グレイだけど、強くしすぎじゃない?」


 学校の屋上。


 テーブルに山のように積み上げられたまんじゅうを一心不乱に食べる椿を眺めながら、風香は秀星に言う。


「そうか?まあ、清磨に合わせた部分はあるからなぁ」

「あれだと、私と秀星くんしか、本当に倒せないよ?清磨君だってギリギリっぽいし」

「まあ、清磨が強くなったからこのアップデートだからな。もし清磨がこの学校を去るまでこのダンジョンが続いていたら、またアップデートをして調整するよ」

「無理ゲーで放置はしないってことだね」

「流石にそこまでクソ運営じゃないぞ」


 秀星はクズであってもクソではない。


 ……いや、グレイに挑むのがほとんど清磨だけ。みたいな調整をしている以上、クソっちゃクソか。


「で、大丈夫なのかな。清磨君。今のところ、勝てそうじゃないよね」

「最終形態までは行けるだろうけど、まあ全クリは無理だろうな。まあ、戦術的な意味で視野の問題だと思うけどな」


 清磨のスキルは細かいところまで手が届く。


 集中力や関節ごとの強度など、気づきさえすればまだまだ強くなれるのだ。


 とはいえ、こういうのは失敗して考えないとわからないものなので、かなりセンスも必要だが。


「どれくらい強くなれるかな」

「まあ、限度があるだろ。神器もギャグ補正も持ってないし」

「行き着くところが残酷だね」

「それに関しては止めなかった全知神が悪い」


 なので秀星もわるくない。が通れば秀星も楽だが、さすがにそれは無理があるか。


「ま、今後に期待ってところだな。最近、変な予感がするけど」


 もやもやすることをつぶやきながら、秀星は椿を眺めることにした。

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