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第千二百三話

「zzz……」


 沖野宮高校の屋上。


 ある意味で『強者専用のスペース』になっているというのが事実である。


 秀星をはじめとして、様々な学校ないの上位層が、この空間を利用しているのだ。


 雨が降ったら終わりっぽいイメージがあるかもしれないが、魔法があるのですぐにスペースの快適さを確保することが可能。


 沖野宮高校の上位層が過度に群れることのない連中ばかりなので、ある程度のテーブルセットが並んだ空間があれば、ふとした時に来る。といった程度だ。


 このスペースの『残り香』のようなものが、生徒たちにはとても重苦しいものに感じられるため、例え上位層が誰も利用していなかったとしても、それ以外の生徒はあまり利用しない。


 戦うものが多く、オーラだとか、雰囲気だとか、一般人と比較してそういうものに対し過敏になっている生徒が多いゆえの現状である。


 ちなみに、学校内ではかなり日の当たり方が良い場所でもあるし、屋上という、グラウンドなどと比べて風が一定量あるためか、快適である。


 その屋上で、清磨は敦美の膝枕で就寝中であった。


「……」


 ちなみに、膝枕で清磨が寝ている間、敦美は本を読んだりタブレットで時島グループの業務を行ったりと、基本的には無視している。


 ただ、それは『基本的』にである。


 タブレットから視線を落とす。


 まあ、敦美はGカップの胸を持つので、その視界はかなり胸に占領されるが、その奥で、清磨はスヤスヤと眠っている。


 敦美は、そんな清磨の頭に、やさしく、ゆっくりと右手を近づけて……


「むふううううう!むはああああ!」


 右手をタブレット操作に戻した。


「あれ?敦美さん!ここにいたんですね!」

「……何か用ですか?」


 無表情のままで聞く敦美。


「む~……特に何もないですね!」

「そうですか」


 敦美としては、『ここにいたんですね!』という言葉の印象から、多くの場合は『探していたんですけど』という解釈をしたが、どうやらそうではない方のようだ。


「清磨さん。ぐっすり寝てますね」

「どちらかと言うと寝ることも多いですからね。椿さんとは違って」

「そうですかね?」


 敦美のこの発言の意図としては、特に上位層が持っている『時島清磨の認識』に関するものだ。

 元気で特に何も考えていない。という点において、清磨と椿は大変よく似ているが、本質は大きく異なる。


 大雑把に言えば、清磨は馬鹿であり、椿はアホなのだ。

 言葉が持つイメージ的には大体そんなものであろう。


「むー……ふふっ♪」


 椿は清磨の近くに言ってしゃがみ込むと、頬をツンツンと突いた。


「んっ……zzz」


 眠りが深い。


「うふふ~♪」


 玩具を見つけたようだ。


 元気いっぱいでアホなロリ巨乳が、起こさないように、静かに楽しむ。


 悪くない。

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