第千百九十九話
清磨は元々、『新入生という言葉にはあまり合わないくらい強い』とされていたが、だからと言って、一部の『上位陣』に匹敵するかと言われれば、そういうものではなかった。
沖野宮高校は、教科書を作っているのが秀星であり、それが影響して、なかなか理不尽な『コツ』を生徒たちに教えるため、『気にするべき部分』がわかった生徒たちの成長速度は想定よりも早くなる。
そのため、清磨は『最高値移行』でかなりの『質』を誇るが、そもそもこのスキルはそのスペックが許容する範囲でクオリティを上げるだけで、別にスペックそのものが上がるわけではない。
もちろん、質をスキルで補うようにしている以上、清磨としては『スペックを上げる方の教育』のために沖野宮高校で学んだことを利用していたが、当然、その成長速度には限度がある。
しかし、秀星が持つ『真理』……より高次元の情報に触れたことで、その成長速度は爆発的に上昇。
正直に言えば、入学したての頃は全く勝てなかったグレイが相手でも、十分勝てるだろう。という実力まで高まっている。
それを羨ましいと思う者はいなくもないが、そのほどんどは、朝森秀星という人間をよく理解していない者たちである。
秀星に目を向けられるということが、どれほどの『めんどくささ』を発揮するのかという点で、一部の物からすれば『関わるのはご遠慮願うよ』と思っているくらいだ。
『沖野宮高校の上位陣』に及ばない実力だったのに、いつの間にか日本の中でも五指に入るような実力を手に入れるということは、それだけ、これからの『展開』で重要なポジションにいるということ。
朝森秀星という男が抱える様々な計画は、どれもこれもめんどくさい。それゆえ積極的に関わるものは多くなく、結果的に、清磨ほどの成長速度を達成している者はいないということでもあるが……まあ、真理に触れることができるかどうかは秀星の匙加減であり、空振りすることも十分考えられるか。
とりあえずいえることは、秀星は、清磨という一人の少年を、『重要人物』だと考えた。という点。
いろいろ分かっている者からすれば、『ご愁傷様』としか言いようがありませんなぁ。




