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第千百九十一話

「……おっ、こいつなかなかやるな」


 沖野宮高校のチケットダンジョン。


 そのラスボスであるグレイは、オンラインゲームのプレイ中、自分のパーティーに入ってきたプレイヤーの戦術を見て興味が湧いた。


 なかなか立ち回りが良い。


 自分一人で動くことにおいて、一対多数という形式になっても問題ない立ち回りであり、場数が豊富なのがうかがえる。


 プレイヤーネームはロイゼ。


 使用しているキャラクターに関しては課金で育てたような節があるものの、いきなり最高レベルのキャラを『使いこなせる』センスを本人が持っている。


 言い換えれば、『ゲームシステム的に必要なセンス以上の実力』をプレイヤー本人が持っている状態だ。


「キャラクターを見る限り、最近始めたようだな。なるほど、こんな奴もいるのか。廃課金勢としては負けられんな!」


 大人げない……と言いたいかもしれないが、グレイの実年齢は一歳である。

 自我のある幼児に金を持たせると大体ロクなことにならないということ……ではないと思いたいのだが、沙耶に関してもお金を渡すと何をしでかすかさっぱりわからない上に、下手すると周囲の人間全員の胃に穴が開くので、常識がまだ備わっていない赤ん坊にお金を持たせるべきではないのかもしれない。


 ……いや、単純に秀星の周辺がアホなだけか。


「ふむふむ……おお、こちらのやりたいことがよくわかっているな。付け焼刃という印象はあるが、なかなかやる!」


 モンスターにダメージを叩き込みながら感心しているグレイ。


 その様子はとても楽しそうであり、良い友人になれそうだとメッセージもたくさん送っている。


 キャラクター名、ロイゼも、高速戦闘を行いつつもタイピングでメッセージを送ってきた。こいつの腕は何本あるんだろう。


「ほう、ほうほう!面白い!我は負けんぞ!」


 グレイも久しぶりに乗り気になった様子。


 ……まあ、ゲームは楽しむものなので、それが正しい姿だろう。


 ところで……ラスボスの間ではオンラインゲームが流行っているのかい?

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