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第千百八十四話

「えへへ〜♪」


 椿は風香の肩車で喜んでいた。


 ……母親の肩車で喜ぶ高校一年生は椿くらいのものだろうが、これがいつもどおりだろう。


 ダンジョンの中ではあるものの、秀星がいるので遠慮はない。


「はぁ、風香先輩はアホの扱いに慣れてますね」

「清磨の扱いにはまだなれないのか?」

「慣れている部分となれていない部分があります」

「だよなぁ」


 最初はアホムーブに思考が停止するが、なれてくるとアホムーブを見ても冷静になる。


 ただ冷静になると、それはそれで見ていて疲れるのだ。


「この差は何なんでしょうね」

「さあ……俺もよくわからんな」


 イチャイチャしている椿と風香を見て、どうしたものかと思う二人。


(……恋か愛かの違いでしょうね。お二人にはわからないでしょうけど)


 そんな様子を見守っているセフィアはそんなことを考えていたが、こういうのは言葉で説明しても実感としてよくわからないことなので、何も言わないことにした。


「母親の肩車で喜べるとは……未来でどんな接し方をしているのでしょうね」

「まあ、基本的に一緒に寝てるだろうし……」

「親離れはできていますが、お母さんのことが大好きというのはよくわかるんですけどね」


 ……時々、一番好きな相手がセフィアなんじゃないかという節もあるが、基本、好きなのは風香だろう。


「……はぁ、まあ、私が面倒を見なくてもいいのなら何でもいいということにしましょうか。早くダンジョンを攻略しましょう」

「だな……戦うのは俺なんだが」

「どうでもいいことですよ」


 雑……。

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