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第千百八十一話

「このダンジョン。とても長いですね。近道の方はとても強いモンスターが出てきますけど、こっちの道はモンスターはそうでもないですが、めっちゃ長いです」

「まあ、近道の方より弱いと言っても、かなり強いことに違いはありませんが……」


 バリエーションが豊かなので、なんだかんだ言ってカードダンジョンに潜って攻略している椿と敦美。


 その足元では、二頭身ゆえに足が短いセフィコットがシャカシャカ足を動かしてついていく。


「けっこう深いところまで来ましたね。モンスターの出現回数も多いです。とりゃ!」


 椿が刀を振って、鋼鉄で出来ていそうな色合いのスライムを切断する。


 おそらく、鋼鉄のような頑丈性とスライムゆえの柔らかさをもった強敵だと思われるが、椿の手にかかれば、普通に倒せる相手に過ぎないようだ。


「魔石ゲットです!」


 左手で魔石を拾って敦美に見せてくる。


(……魔戦士にとって、モンスターを倒して魔石を手に入れることなど普通のはず。毎度毎度、モンスターを倒すたびにこのような反応ができるとは……)


 正直、その感性が理解できないというのが敦美の本音である。


「むふふ~。これ一個でアイスクリーム何個になりますかね?」

「店によります」


 確かに。


「そういうことじゃないですううう~~~っ!」


 確かに。


「ぷっぽむ~!って感じです!」


 確かに……じゃないわ。何言ってんだこの子。


「どういう意味ですか?」

「……む?」


 特に何も考えていなかったようだ。


「なるほど」


 敦美が右手を出してバキバキと鳴らすようなオーラを解放!


「!?……みゅ!?む!?にゃあああああ!」


 尚更わからん。


「ふむ、わかりませんね」


 敦美は横から襲ってきたゴブリンの頭を、バキバキなっている右手でつかむ。


 そのまま、ギリギリギリギリッ!とヤバい音を立てて力を込めていき……


 バリバリバリバリビリビリビリビリッ!


「ごぶううううううううううう!」


 雷属性魔法でゴブリンの脳を感電させる。


 アイアンクローをされたままで腕をだらんと下げて、そのまま魔石を残して消えていった。


「ヒイッ!」


 あまりにも残酷な討伐方法に悲鳴を漏らす椿。


「これからふざける時は命を懸けてくださいね!」

「ごめんなさい真面目にやります!」


 ……TAKE……いくつなんだろうね。これ。

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