第千百七十五話
「むふふ……うにゅ……zzz」
(はぁ。寝ているときは平和ですね)
時島グループの社員食堂。
そこでは、椿がなんだか眠くなってきたのか。テーブルの一つを使ってぐっすり寝ていた。
椿は起きているときも寝ているときも大体笑顔なのでかわいらしいが、寝ているときは動かないし、わけのわからないこと(敦美基準)も言わないので、敦美からするとすごく平和である。
「かわい~」
「頬がプニプニしてる~」
時島グループの職員は、敦美が世界中からスカウトして集めた美少女たちだ。
中には原石を集めて、整形して今の容姿を持っている者もいるが、まあ結果的に全員美少女であることに変わりはない。
そんな美少女たちが群がって、かわいらしい小さい子の頬をプニプニ触っている。
……確かに平和。
「はぁ。起きているときももう少し静かになってくれたら尚更平和なんですけど」
「無理だろ」
「ですよね」
清磨がカツカレーを食べながら敦美のつぶやきに応えたが、確かに起きているときも静かだったら椿ではないか。
「うへへ~」
椿が嬉しそうにしている。
何かの夢を見ているのだろうか。
「敦美さんの胸、やわらかいですうぅ……」
全員が『ブフッ!』と吹き出した。
「……椿って、敦美の胸触ったことあんの?」
「しょっちゅう触ってきますよ」
「マジで」
「むしろ顔を埋めてきます」
敦美はGというなかなかの胸部装甲を持っているからね……。
「そ、そうか……」
清磨としてはコメントに困る。自分から振っておいてなんだが。
「えへへ~……敦美さーん、そんなことをしたら清磨さんとの子供ができちゃいますよ~……痛いですうううう!」
敦美から消しゴムが時速百七十キロで飛んできて、椿の額を直撃。
絶叫と共に跳ね起きると、そのまま悶絶。
「……」
そして周囲の人間もコメントに困った。
ちらっと敦美を見る。
一見、無表情に見える。
無表情に見えるが……。
……怖い。




