大千百六十五話
ダンジョンである以上、ボスはいる。
形態は様々であり、ラスボス本体は弱いが、召喚したモンスターが強かったりする場合もある。
お菓子の国。と言えそうなダンジョンの最奥にいたのは……。
「タワーですかね?」
「タワーですね」
「うー」
お菓子でできたらしいタワーが存在した。
今までおいしく食べてきたお菓子たちがてんこ盛りになっており、とても美味しそうです。
『フハハハハッ!よくたどり着いたな。この下等種族め!』
タワーのてっぺんから声が聞こえる。
「む?誰の声ですか?」
「タワーの上に誰かいますよ」
「むー……確かにゴミみたいな大きさですけど。いますね!」
『誰がゴミだああああっ!』
いやー、もう、ほんと、うちの子がすみません。
『はぁ、はぁ、ぜぇ、ぜぇ』
一回叫んだだけでどんだけ深呼吸してんの?
『フフフ……フハハハハッ!TAKE 2だ!』
自分で言うんだ。
『このお菓子の国のラスボスが俺だ!このタワーに施された仕掛けをかいくぐり、頂上にたどり着いたものだけが――』
ボスはモニターを確認した。
椿が、頭に工事現場で使う黄色いヘルメットをかぶりつつ……バズーカを構えているのだ!
「くたばれアーメンですうううっ!」
いろいろな方面から怒られそうだからそういうことを言うのはやめなさい。
で、言いながら発射された砲弾は、タワーの頂上に!
『ギャアアアアアアッ!』
結構全力で悲鳴を上げるラスボス。
「椿さん。こういうときは一番上をバズーカで狙ってはいけませんよ」
「はっ!そうでした!未来では慈悲なくミサイルで粉々にしろっておじいちゃんに言われてました!」
高志って時々、戦犯だな。
「というわけでミサイルを……」
「いえ、ここは普通に入っていきましょう」
「え、なんでですか?」
「ラスボスの方の沽券のためです」
「わかりました!」
……バラバラになっている頂上から『あんまりだあああっ!』という叫びが響いたが……これも彼の沽券のために無視しよう。うん。




