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第千百五十一話

「むふふっぱ~!」

「「?」」

「うー?」


 カードダンジョンを乱獲している椿、高志、来夏、沙耶の四人。


 まあ、正直に言って、常識と社会的通念と論理的整合性が通用しないこの四人に対して、何の慣れもないモンスターが相手にできるはずもない。


 ほぼ初見で叩き壊されるという、作った側からすると『チキショオメエエエエッ!』と言いたくなるような状況になっているが、それはそれ。


 別に理不尽と言える性能をしているわけでもないし、そもそも高志と来夏は神祖相手に耐久戦術が取れるほどなので、カードダンジョン程度のモンスターで倒されるはずもない。


 なので、モンスターを討伐する方は何も問題はない。


 だが、それでもわからなくなることはいろいろあるのだ。


 椿の発言から察するに『沙耶語』とのことだが、わからないことは分からない。


「どうしたんだろうな」

「さあ?」

「む~!むふふ~♪」


 さっきからずっと興奮している椿。


「……うー」

「沙耶もよくわかってなさそうだな」

「それって誰にもわからないってことなんじゃないか?」

「ありえるな」


 その時、セフィコットがダンジョンの角から姿を現した。


 そして、タブレットを見せてくる。


「……『多分だけど、沙耶の言葉にはすべてに意味があるのに対して、椿の場合は特に何の意味もない発言があると思われるような気がするぞ!』……か」

「椿らしいっちゃ椿らしいが……断言ゼロだな」


 椿を相手に断言なんてできるわけないじゃないか!できるのは全知神レルクスくらいのものだよ!


「にゃう~!」

「……どうする?」

「いや、椿の興奮を鎮める方法なんて知らねえぞ」


 きっと誰も知らないさ。


「むんむんぷっぷ~!……あれ?来夏さんとおじいちゃん。どうしたんですか?」


 静まった様子である。


「……今までのアレ、全部なかったことにするつもりなのか?」

「いや、本人にはそんなつもりは全くないと思うぞ。そんなことすら考えてないから」

「うー……」


 何も考えていない。

 それがどれほどのエネルギーを持っているのかは、誰にもわからないだろう。


 そして、これで嫌われないというのが椿が椿であるゆえんである。


「……むー。なんだか。シンバルをおもいっきり鳴らしたい気分ですね!」


 そんな気分になる子は君くらいしかいない。

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