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第千百五十話

 ダンジョンカードの総数は100万枚であることは変わらない。


 そして、魔法省直轄の魔戦士チームをかなり抱えているため、少なくとも日本であれば最終的な回収は可能である。


 ちなみに、その魔戦士チームたちは、ダンジョンカードを秘密裏に確保しておくといったことは、ほぼ、ではあるがやらない。

 アトムの恐ろしさというものをよーく理解しているからだ。


 もちろん、ダンジョンを攻略するという行為は弱小ダンジョンであっても、人間がやる以上はある程度時間が必要である。


 それが、本人の因子の力によって強化されているとすれば尚更だ。


「……うーん。因子の力を無効化することができる装置はあるんだが、まだ魔法省の直轄チーム全員に配備できるほどの量はないんだよなぁ……」


 保存箱の内容リストが表示されたホログラムウィンドウを確認しながら、秀星はつぶやく。


「……確かに、今回のダンジョン。多少はモンスターが強化されているが、基本的には敵の『因子』という外付けの力で強くなっているだけだからな。そこをどうにかすることができれば、突入させる魔戦士たちのランクを下げることも可能だが……」


 高速タイピングをしながら、秀星のつぶやきにアトムが答えた。


「因子の力は決してバカにしていい物じゃないからな。しかも、因子そのものにも強化の幅があったんだろうな。今まで発見できたそれとは、ちょっと強化値が異なってるし」

「ああ。因子である以上、君が作った装置を使えば無力化は可能だが、配備がいきわたらない以上、出せる手も少ない」


 因子の数と装置の数を比較して、因子の方が圧倒的に多いからここまで困っている。ということでもある。


「正直、数の勝負でいいのなら、セフィアを突入させればいいんだが……入れなかったんだよなぁ」


 セフィアの『端末』の数は、世界中の人間を五人体制で監視してもあまりが出るほどだ。


 それだけの数を抱えているわけだが、セフィアの端末がダンジョンに入ろうとしても、出入り口ではじかれてしまった。


 原因はまだわかっていないが、セフィアに関しては完全に出禁だった。


「まあ、出来ないことはできないこととして考えるしかない。できる手は多くない以上、手あたり次第も視野に入れる必要があるからな」

「だよねー……はぁ。なんでこんなことに、もうちょっと楽させてほしいよ」

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